2021 Fiscal Year Annual Research Report
長期脳機能計測に向けた組織接着性・抗炎症性を有するハイドロゲル電極の創製
Project/Area Number |
21J00321
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
水野 陽介 東京工業大学, 生命理工学院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 生体材料 / 導電性 / 組織接着 |
Outline of Annual Research Achievements |
電極を大脳皮質へ貼り付けるための第一段階として、当研究室においてこれまでに開発した薄膜電極への組織接着ハイドロゲル層の導入を目標とした。組織接着性ハイドロゲルには、電極の貼り付け、および位置調整後の固定が望ましいと考えられたため、光応答性架橋分子の設計を行った。ゼラチンに対して、紫外線応答性かつアミノ基との架橋性を有するジアジリン基を修飾したDia-Gelを合成した。Dia-Gelへのジアジリン基の導入は、FT-IRおよび1H-NMRにより確認した。Dia-Gel水溶液に対して、紫外線を照射したところ、粘性は上昇したが、ジアジリン基の急速な失活により硬化には至らなかった。そこで、これまでに電極材料に用いてきたスチレンーブタジエンースチレン(SBS)に対して、アミノ基を修飾後、ジアジリン基を修飾することを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた、ジアジリン基修飾ゼラチンからなる組織接着層の開発について、ジアジリン基の想定以上の失活速度のために、ハイドロゲル基盤からエラストマー系基盤への修飾等、大幅な改良が必要であると考えたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、主に導電性および組織接着性を有する新規材料の設計を目的とする。昨年度に用いた光応答性ジアジリン基は、水による失活速度が早いため、ハイドロゲルとしての用が困難であった。一方、膜材料への修飾を行うことで、効率的に生体組織と接着できると予想される。エラストマーであるスチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)に してチオール-エン反応によりジアジリン基を修飾し、物理化学的物性評価および生体組織への接着性評を行う予定である。他方、導電性ハイドロゲルとして、タンニン酸とキトサンからなるハイドロゲルを調整する。タンニン酸とは、ポリフェノールの一種であり、様々な官能基と水素結合や疎水性相互作用を行うことから、接着作用に加え、抗炎症性を有することが知られている。さらに、鉄や銀イオンの導入により導電性の付与が可能であることから、接着性・導電性・抗炎症作用を併せ持つハイドロゲルの合成が可能ではないかと予想される。従って、タンニン酸と生体高分子からなるハイドロゲルを合成し、物理化学的性質および、組織接着性、導電性の評価を行う予定である。
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