2021 Fiscal Year Annual Research Report
野生動物由来の新規コロナウイルスの探索と新興感染症のリスク評価
Project/Area Number |
21J01036
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高田 光輔 大阪大学, 微生物病研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | Virome / コウモリウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、次世代シークエンス技術の進展によって、野生動物から様々なウイルス遺伝子が見つかっている。網羅的な解析によって、ウイルス遺伝子が見つかっていても、そのウイルスがヒトに感染するかはわからない。実際に、世界中に生息するコウモリから多様なコロナウイルスが見つかっている(Wong et al. Viruses. 2019)が、どのコウモリコロナウイルスがヒトへの感染するかは十分に解明されていない。そこで本研究では、新規のコウモリコロナウイルスを探索し、コウモリコロナウイウルスが種の壁を越えるリスクを評価する。 シエラレオネに生息するコウモリの臓器サンプルからNGSデータを取得し、網羅的にコロナウイルス様配列を探索した。NGSデータをアセンブリし、長いコンティグ配列を作成した。コンティグ配列をウイルスのゲノム配列に対しBlastn検索したところ、Bat coronavirus 1B strain AFCD307 [EU420137.1]と配列一致率が77%の新規コロナウイルス様配列(全長28885塩基)を同定した。さらに、同定した新規コロナウイルスの系統関係を明らかにするために、新規コロナウイルスのゲノム配列または、遺伝子配列(非構造蛋白質をコードするORF1ab遺伝子領域または、スパイク蛋白質をコードするS遺伝子領域)を用い、アルファコロナウイルス属のウイルスを中心に分子進化系統樹を構築した。また、新規コロナウイルスのゲノム配列が検出されたコウモリ種が未同定であったため、NGSデータからコウモリ種の同定を試みた。作成したコンティグ配列を、Barcode of Life Data (BOLD) システムからダウンロードした翼手目のCOI配列に対し、Blastn検索を行い検討した。その結果、bit scoreが最も高い種として、Miniopterus inflatusが同定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シエラレオネに生息するコウモリの臓器サンプルからNGSデータを取得し、コロナウイルス様配列(全長28885塩基)を同定した。さらに、同定した新規コロナウイルスの系統関係を明らかにするために、分子進化系統解析を行なった。本研究は計画通り概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、ブラジルに生息するコウモリの臓器サンプルを用い、コロナウイルス様配列の探索を試みる。また、コウモリコロナウイルスのコウモリコロナウイウルスが種の壁を越えるリスクを評価するため、コウモリ由来のウイルスが起源と考えられているSARS-CoV-2を用い感染実験系の確立を試みる。
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