2021 Fiscal Year Annual Research Report
透過電子顕微鏡構造解析を鍵とするグラフェンナノリボンの面修飾反応の開発とその応用
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21J01147
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
花山 博紀 沖縄科学技術大学院大学, 有機・炭素ナノ材料ユニット, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | グラフェンナノリボン / 原子分解能電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,表面合成されたグラフェンナノリボンの構造解析手法として用いられる走査型プローブ顕微鏡や非接触型原子間力顕微鏡では解析困難な三次元グラフェンナノリボン・溶液合成グラフェンナノリボンを対象として,原子分解能電子顕微鏡による三次元構造解析を新たな手法として確立することを第一の目的とする.さらに,開発した手法を用いてグラフェンナノリボンの面修飾反応など従来法では開発が困難な反応開発やその応用を試みる. 本年度は,1.新しく使用する電子顕微鏡による解析環境の整備と原子分解能イメージングの実現,2.グラフェンナノリボンの原子分解能観察のための担持法の開発に取り組んだ.具体的な成果としては,1に関して,大学に備えられた電子顕微鏡が電子線のエネルギー幅の広い熱電界放出型電子銃を用いており,当初原子分解能での観察が不可能であった.そこで,電子線のエネルギー幅を狭めるためにモノクロメーターによる電子線の単色化を試み,グラフェンやカーボンナノチューブなどのナノカーボン材料の原子分解能観察が可能なことを確認した.さらに,ナノカーボン材料であるナノグラフェンからなる共有結合性有機構造体(COF)の観察も行い,二次元シート構造とその積層構造を明らかにした.また,2については,グラフェンナノリボンを凝集体から孤立させて観察するためにアミノ基修飾カーボンナノチューブに共有結合的に担持することを試みた.種々の条件検討の末,観察に最適な短めのグラフェンナノリボンで末端にカルボン酸を持つものを合成し,カーボンナノチューブ上のアミノ基と縮合した.最初は,凝集の効果が強く孤立したグラフェンナノリボンは観察できなかったが,良溶媒でよく洗浄することにより余分なグラフェンナノリボンを除くことに成功し,一本で孤立しているグラフェンナノリボンの観察に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は本研究課題の最も重要な基盤となるグラフェンナノリボンの高分解能電子顕微鏡観察に取り組み,アミノ基修飾カーボンナノチューブを利用することで達成した.この結果をもとに次ステップのグラフェンナノリボンの修飾とその解析へと進めることができるため,おおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,電子顕微鏡で観察可能な官能基をグラフェンナノリボンに導入する修飾反応を従来の分光法・質量分析法を用いて進行を確認したのち,確立した電子顕微鏡による観察法を用いて官能基の修飾位置を含めた詳細な構造解析に取り組む.
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