2021 Fiscal Year Annual Research Report
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21J01321
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小口 晃平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | シロアリ / カースト分化 / インスリン様成長因子 / インスリン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、シロアリのカースト分化へのインスリン経路の関与を明らかにすることを目的に、生殖虫分化におけるインスリン様成長因子と受容体の遺伝子発現動態の解析および機能解析を行なった。材料種であるオオシロアリおよびゲノム解析等が行われている近縁種におけるインスリン関連遺伝子を解析したところ、シロアリは5つのインスリン様成長因子および、インスリン受容体が3つに重複したインスリン経路を持つことが判明した。これらについて補充生殖虫分化過程での発現解析を行なった結果、脳においてインスリン様成長因子の一つ(ilp4)が発現上昇することが判明した。またインスリン受容体の一つ(InR3)が生殖腺および外部生殖器官において発現上昇を示す傾向が得られた。さらにin situ hybridization法により、ilp4は脳間部の10対程度の細胞塊において局所的な発現が見られ、これらがインスリン分泌細胞であることが示唆された。また補充生殖虫分化を誘導した個体に対し、RNAi法による遺伝子機能阻害をおこなった結果、脱皮が遅延する他、生殖腺発達が妨げられた。よってインスリン経路の遺伝子ilp4とInR3が殖虫分化において重要な役割を果たすことが示唆された。 また、補充生殖虫以外のカースト(有翅虫、兵隊、ワーカー)への脱皮過程においても、脳を対象としたトランスクリプトーム解析やリアルタイム定量PCR法により、インスリン様成長因子を含む神経内分泌因子の発現動態を調査した。その結果、繁殖カーストである有翅虫分化時には、先の生殖虫分化過程で発現上昇を示したilp4の発現変動は見られないなど異なる挙動を示した。本結果により、インスリン経路以外の因子が有翅虫分化には寄与しており、同じ繁殖カーストでも全く異なる分子機構により分化が制御されうることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、予定通り、オオシロアリにおける生殖虫分化過程でのインスリン成長因子や受容体遺伝子の遺伝子発現および機能解析を行った。。リアルタイム定量PCRを精力的に行った結果、様々なカースト分化時のインスリン関連遺伝子の遺伝子発現動態が概ね明らかとなってきた。更にインスリン成長因子や受容体遺伝子が生殖虫分化において重要な役割を担うことをRNA干渉法を用いた遺伝子機能解析から明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
生殖虫以外のカースト分化に関しては、更なる遺伝子発現解析と遺伝子機能解析に取り組む。また、インスリン受容体の抗体を作成し、免疫沈降法により各カースト分化が異なるインスリン経路によって制御されるか検証していく。 また、上記の知見がシロアリに普遍的な原理であるか、またその進化の様式を探るため、更に近縁種との比較なども行っていく。
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Research Products
(1 results)