2021 Fiscal Year Annual Research Report
The role of cell cycle in leukemia clonal competition
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21J01690
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
雁金 大樹 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所生体恒常性プロジェクト, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / クローン間競合 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性骨髄性白血病は未だに難治性の血液疾患である。遺伝子変異に基づいた治療薬も近年上市されてきているが、古典的な大量化学療法や造血幹細胞移植などの治療法は、未だに有効で第一選択とされる症例も多い。一般的に、全身に分布した悪性腫瘍を古典的抗がん剤のみで根治させることは極めて難しい。しかし急性骨髄性白血病の一部の症例は、抗がん剤のみで長期生存が見込まれる。そのため、抗がん剤が標的としている細胞周期に再度注目し、解析を行ってきた。新規技術を用いて再解析を行うため、静止期(G0)を示すレポーターたんぱくを急性骨髄性白血病患者の由来の細胞より作成したiPSCに導入し、再度白血病細胞へ分化させた。このリアルタイムでG0を観測できるシステムを用いたところ、G0細胞のみらなず、分裂期に入っている細胞も免疫不全マウスに生着した。これは、この分野におけるドグマ、すなわち急性骨髄性白血病幹細胞はG0に存在し、抗がん剤の影響から逃避し、最終的には化学療法後の再発に寄与するという白血病幹細胞仮説に反証を突きつけるものであった。加えて、急性骨髄性白血病患者の白血病細胞を、凍結することなくピロリンY染色を用いて細胞周期ごとに分離し、免疫不全マウスに移植したところ、こちらも細胞周期に関係なく生着が認められた。以上より、白血病幹細胞はどの細胞周期にも等しく存在していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レポーターシステムを導入したiPSC、および免疫不全マウスを用いたマウスモデルの作成も済み、急性骨髄性白血病患者由来の細胞を用いた白血病マウスモデルの作成も終わった。 現在はRNA-seqを中心に解析を進めており、概ね計画通りにすすんでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
急性骨髄性白血病のクローン間競合を解明するための、細胞・マウスモデルの作成は終わり、概ね細胞学的特性の解析は終わった。現在はRNA-seqを中心にさらなる解析を進めており、そこから導き出されるシグナル経路などを中心に、さらなる解析を継続していく予定。
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