2022 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of the Global Conveyor Belt for forming circumglobal-scale population on deepwater fishes
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21J01755
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和田 英敏 東京大学, 総合研究博物館, 特任助教 (80914100)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 汎世界分類群 / シロカサゴ科Setarchidae / 汎世界分布種 / 生物地理学 / 魚類分類学 / ヤセアカカサゴ属Lioscorpius / クロカサゴ属Ectreposebastes |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では海産魚類における汎世界的集団構造の実態解明を目的に、汎世界的分類群シロカサゴ科魚類をモデルとして分類学的研究と生物地理学的研究をおこなった。 分類学的研究においてはシロカサゴ科の正確な有効種数と各有効種の分布を把握するために、前年度において検討が出来なかったクロカサゴ属について分類学的再検討をおこなった。この検討によりクロカサゴ属については既知の2種に加え、タスマン海近海に分布する1未記載種の存在が明らとなった。 生物地理学的研究においては、シロカサゴ科各種および近縁タクソンの分布とミトコンドリアおよび核の複数の遺伝子座の塩基配列にもとづく分子系統樹における各種の位置づけから、シロカサゴ科の起源は後期中新世の東インド-西太平洋にあり、そこから派生的な分類群が汎世界的に分布を拡大したという仮説が導き出された。さらに、シロカサゴ科は前期更新世から中期更新世にキチジ科との共通祖先から分岐し、さらにシロカサゴ科の現在汎世界的に分布する派生的な種は分類群が前期更新世から後期更新世に出現し、最終氷期以降(およそ紀元前20、000年以降)に成立した表層流(風成循環)によって現在の分布を形成したものと推定された。ただし分子系統解析において用いた遺伝領域および総塩基数が少ないため、より詳細な解析は今後の課題である。また、この過程でこれまでシロカサゴ科に含まれるとされていた化石種Raususetarches sakuraiが、シロカサゴ科よりむしろキチジ科に近縁なタクソンであることが明らかとなった。今後はシロカサゴ科およびキチジ科についてより詳細な分子系統解析をおこない、そのデータにこの化石種の得られた地質年代による制約を加えることで、汎世界分布種が出現したより詳細な時期を特定し、これのプロモーターとなった生物地理学的イベントをより詳細な考察することが期待される。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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[Journal Article] Report on the specimens of Setarchidae (Teleostei: Scorpaenoidei) deposited in the Department of Zoology, The University Museum, The University of Tokyo.2022
Author(s)
Wada, H., Koeda, K., Aizawa, M., Sakamoto, K. and Ueshima, R.
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Journal Title
The University Museum, The University of Tokyo Material Reports
Volume: 129
Pages: 49-54
Open Access
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