2021 Fiscal Year Annual Research Report
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21J10020
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
北野 修平 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 粘性解 / 完全非線形 / 最大値原理 / 完全非線形積分方程式 / ABP最大値原理 / ハルナック不等式 / ヘルダー評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
完全非線形積分方程式において、弱いスケール条件のもとハルナック不等式とヘルダー評価を証明した。これは定数係数線形積分方程式に対する先行研究の一般化にあたるが、方程式の積分核が変数に依存することと、方程式の非局所性が組み合わさることで解に特異性が表れることがあり、より緻密な解析が要求された。具体的には、ヘルダー評価については弱いスケール条件さえ満たせば積分核に連続性を仮定せずに証明できたが、ハルナック不等式は積分核にある種の連続性を仮定して証明した。また、積分核に連続性を仮定しない場合はハルナック不等式の反例があることを示した。また、先行研究ではハルナック不等式は1、2次元の場合と3次元以上の場合で仮定にギャップがあったが、本研究でこのギャップを解消することに成功したので、定係数線形積分方程式の場合に限っても本研究成果は新しい結果である。
2次元における完全非線形積分方程式に対するABP最大値原理の改良を行った。先行研究では2次元のABP最大値原理は方程式の積分核の特異性を表す指数に強い依存性があったが、分数冪ラプラシアンを使って表される方程式を考えるとこの様な依存性のないABP最大値原理が成り立つことが期待されていた。本研究ではリースポテンシャルを修正したものを考えることでリースポテンシャルと2次元のポアソン方程式の基本解にあったギャップを解消し、従来のリースポテンシャルに対する結果と組み合わせて解析することでABP最大値原理の改良に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
完全非線形積分方程式に対するABP最大値原理やハルナック不等式、ヘルダー評価など、線形方程式の既知の結果を踏まえて期待される条件のもと証明することができた。また既存の研究からは結果を予想することが困難な問題についても具体例を構成するなど、十分な考察のもと研究を行えたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果を論文として出版する一方、今後はより一般的な方程式への結果の拡張を目指す。特に弱いスケール条件を満たさない様なスケール不変性を持たない積分方程式について考察する。また、低階項を持つ完全非線形方程式に対するABP最大値原理やその他の正則性評価について理解を深めつつ適切な解析手法の開発を目指す。
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