2021 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of Cage Space for Real-time Tracking of Molecular Behavior
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21J10039
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
菱川 湧輝 東京工業大学, 生命理工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | タンパク質ケージ / X線結晶構造解析 / 芳香族クラスター / 分子内包 / 熱安定性 / タンパク質結晶 / タンパク質ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ナノサイズのタンパク質ケージを結晶鋳型として、タンパクケージの内部空間に、ターゲットとなる分子反応場を構築することで、分子反応過程を実時間で直接追跡・解析できる実験システムの構築に挑んだ。初年度は、(1)タンパク質ケージの変異体設計および同定、(2)X線結晶構造解析および熱安定性評価、(3)標的分子のケージ内包・反応条件の検討を実施した。 (1)標的分子との相互作用が期待される芳香族アミノ酸を、タンパク質ケージ内に遺伝子工学的に導入することで、芳香族変異体ケージを設計した。設計した変異体は、大腸菌発現・カラム精製を経て、質量分析(MALDI-TOF-MS)、動的光散乱法(DLS)、およびNative PAGEにより同定し、目的の分子量・分子サイズであることを確認した。 (2)X線結晶構造解析により、タンパク質ケージ内部表面における、芳香族残基のクラスター化と標的分子結合ポケットの形成を確認した。示差走査熱量測定(DSC)および円二色性(CD)測定により、変異体ケージの熱力学的パラメータを決定し、熱安定性を評価した。 (3)構築したタンパク質ケージに対する標的分子の内包条件(温度、溶媒など)を検討し、蛍光分子や光異性化分子といった種々の芳香族分子のケージ内包に成功した。また、蛍光分子-タンパク質ケージ複合体のX線結晶構造を決定した。さらに、ケージ内において、紫外光照射に伴う標的分子の光異性化を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、これまで培ってきたタンパク質工学技術や分析手法を駆使し、タンパク質ケージ内で様々な分子反応場を構築し、その挙動を追跡するというチャレンジングな内容である。従来、タンパク質ケージ内での外来分子の固定化と構造決定は困難であると考えられていた。しかし、本年度の芳香族アミノ酸を用いたタンパク質ケージ設計により、蛍光分子のタンパク質結晶内固定化とX線結晶構造解析に成功した。さらに、光異性化分子の取り込みにも成功した。この成果は、タンパク質分子の精密な分子設計と最先端のX線結晶構造解析の利用により、初めて達成できたと考えており、反応のターゲットとなる種々の分子をケージ内に固定化することが可能であることを示唆している。現在論文作成も進めており、研究がおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、芳香族アミノ酸を用いたタンパク質ケージの設計・構造熱物性解析に関する研究をまとめ、論文投稿する。また、蛍光分子・光異性化分子のケージ内包および反応追跡に関する研究において、論文執筆および投稿を目指し、研究を進めていく。
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Research Products
(3 results)