2021 Fiscal Year Annual Research Report
植物間相互作用を利用した薬用植物カンゾウの機能性強化
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21J10068
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
西殿 悠人 立命館大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 生薬 / 薬用植物 / カンゾウ / 生物間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、植物間相互作用の観点から、薬用植物カンゾウ(Glycyrrhiza uralensis)の二次代謝産物の蓄積を誘導する成分(エリシター)を探索、同定するとともに、それらの成分刺激に由来する二次代謝産物の蓄積増加機構を解明することを目的としている。 研究計画に従い、令和3年度は、カンゾウの無菌培養系の確立およびエリシターの探索に取り組んだ。カンゾウの無菌発芽条件について、各種条件検討を行った結果、カンゾウ種子を70%エタノールに浸漬後、0.6%次亜塩素酸溶液で殺菌、滅菌水による洗浄を繰り返し行い、MS培地(0.8%寒天、各種ビタミン、3%スクロース含有)に播種することで、汚染無しに高い発芽率を達成した。また、同様のMS寒天培地下において、発芽したカンゾウの幼苗を生育させた結果、3ヶ月培養時点で根部からグリチルリチン酸を検出することができた。これらによりグリチルリチン酸を含むカンゾウの無菌培養系を確立することができた。次に、エリシターの探索源としてハルジオン、ヒメジョオン、セイタカアワダチソウ、ススキ、クズに着目し、成分研究を行った。そのうち、ハルジオンおよびヒメジョオンからそれぞれ1種のポリアセチレン、セイタカアワダチソウから3種の新化合物を含む8種のポリアセチレン類および5種の新化合物を含む15種のクレロダンジテルペンを単離、構造決定した。さらに、単離した化合物について、イネ科イタリアンライグラスおよびキク科レタスに対するアレロパシー活性を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、薬用植物カンゾウの無菌培養系の確立に成功し、成分探索も確実に進展させることができた。また、一部の研究成果については、すでに査読付きの国際学術雑誌に掲載されたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、収集した植物について、引き続き成分探索を行い、化合物を単離、NMR等の各種スペクトルデータの解析により、それらの構造を決定する。また、令和3年度に得られた化合物も含め、薬用植物カンゾウの二次代謝産物の蓄積に与える影響を明らかにする。
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