2021 Fiscal Year Annual Research Report
大強度加速器と大型液体シンチレータ検出器で紐解くニュートリノ原子核反応
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21J10185
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安部 清尚 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | ニュートリノ反応 / 原子核脱励起 / 中性子 |
Outline of Annual Research Achievements |
KamLANDにおけるsub-GeV領域のニュートリノ 反応測定に向けて、主に3つの研究を行なった。(1) KamLAND検出器の光量較正と中性子検出効率の見積もり (2) 原子核脱励起の予測手法構築 (3) 高速中性子の見積もり (1)まずはレーザー発光によるキャリブレーションデータを用いて、大光量領域での較正をこおなった。解析対象となるエネルギー領域をカバーする広いレンジについて、PMTごとに較正することができた。また、中性子検出効率の詳細な見積もりも行った。宇宙線ミューオン などの大光量事象の後はノイズの影響により、検出効率が落ちる。また、検出効率はミューオン の光量にも依存する。本研究では大統計の宇宙線ミューオン を用いることで、中性子検出効率の期間・ミューオン 光量依存性を見積ることに成功した。 (2) ニュートリノ原子核反応の後に生じる脱励起は、中性子をはじめとする様々な粒子を放出する。本研究で行っている中性子多重度の測定結果を検証する際には、この過程の予測が重要となる。本研究ではTALYSとGeant4の2つのソフトウェアを併用することで、この複雑な過程の予測するシミュレーションを構築した。得られた予測結果と他実験による測定データと比較し、中性子放出については20%の精度で一致していることを確認した。 (3)主要背景事象である高速中性子の見積もりを行った。シミュレーションの高精度化と高速化を施し、より高精度な見積もりを実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大光量領域のキャリブレーションを終え、加えて、本研究において重要課題とされていた中性子検出効率の精密な見積もりも終えた。これにより系統誤差を大幅に抑えることに成功した。 また、原子核脱励起の予測シミュレーションも確立され、実験データとの比較まで行えている。中性子放出確率は20%の精度で一致しており、現時点では十分な精度を誇る。 主要背景事象の見積もりも終えており、主要な課題は概ね解決された。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは系統誤差の見積もりを確定させる。KamLANDデータとシミュレーションを比較し、有効体積の不定性を見積もる。 原子核内の複数核子とニュートリノが反応する2p2h反応の不定性をモデルから見積もる。 KamLANDにおけるNCQE反応の中性子多重度を測定し、ニュートリノ反応モデルパラメータに制限を与える。
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