2021 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄を標的とする経鼻投与型核酸送達ナノ粒子の開発と遺伝性脊髄難病治療への応用
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21J10187
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藏野 匠 日本大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | Nose-to-Brain / 経鼻投与 / ナノ粒子 / 細胞透過性ペプチド / ドラックデリバリーシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究により、ポリエチレングリコールを修飾した中性電荷ナノ粒子が、脳および脊髄の広範囲へ効率的に薬物を送達させるためのキャリアとして、最も適していることを明らかとした。 この知見を基盤として、脊髄への移行性を最大限に向上させるペプチド/ポリマーナノミセル(ナノ粒子)の組成を見出すことを目的に、siRNAの代替として放射性同位元素で標識した水溶性高分子デキストラン([14C]-DEX)をナノ粒子に搭載させ、経鼻投与後の脳および脊髄内の放射活性から組織内分布(%ID/g tissue)を測定した。その結果、細胞透過性ペプチドを組成に含むナノ粒子では、脳および脊髄の組織内分布が有意に向上した。このとき、[14C]-DEX単独投与群に対するナノ粒子併用投与群の%ID/g tissueの相対値からナノ粒子の併用による向上率を各組織で比較した結果、脊髄内分布は脳内分布よりも有意に高く、[14C]-DEX単独投与群の3倍以上の向上率を示した。さらに、大槽から脳脊髄液(CSF)を採取し同様な方法で%ID/mL CSFを算出した結果、ナノ粒子併用投与群は単独投与群に比べて高い濃度推移を示した。また、細胞透過性ペプチドを組成に含まないナノ粒子では、脳および脊髄内分布の向上は見られず、[14C]-DEX単独投与群と同等の値を示したことから、組織内分布の向上には細胞透過性ペプチドが寄与していることが示唆された。以上より、脊髄への移行性を最大限に向上させるナノ粒子を明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、昨年度までの研究を基盤として脳および脊髄への移行性を最大限に向上させるナノ粒子の組成を明らかとした。よって、本申請研究を順調に進めることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、中枢神経系疾患モデル動物に対する治療効果の検討を行う。R3年度に構築した新規ナノ粒子に核酸医薬を搭載させ、経鼻投与後の治療効果を評価することで、ナノ粒子の有用性を検証する予定である。
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