2022 Fiscal Year Annual Research Report
マウス扁桃体における短縮型ジストロフィンDp140欠損に併う自閉症様病態の解明
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21J10198
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
橋本 泰昌 関西医科大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | デュシェンヌ型筋ジストロフィー / 自閉スペクトラム症 / ジストロフィン・アイソフォーム / Dp140 / 扁桃体外側基底核(BLA) / 内側前頭前野-扁桃体外側基底核神経回路 / VGLUT1 / 核酸医薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的】 デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、ジストロフィンが欠損することで四肢の筋力や心機能低下だけでなく、脳症状も呈する。ジストロフィンの短いアイソフォームであるDp140は胎生期に高発現し、神経発達分子と関連している。Dp140欠損は、臨床的に自閉スペクトラム症(ASD)および注意欠如・多動症(ADHD)と関連するといわれてきたが、その詳細な病態メカニズムは理解されていなかった。 【研究方法】 DMD患者と同じ遺伝子変異を有する2種類のDMDモデルマウスを用いて、マウス脳Dp140の欠損および回復における神経病態を評価した。野生型マウス(C57BL/6J)と、マウスDmd遺伝子のエクソン23点変異によりDp427が単独欠損したC57BL/6J-mdx23マウスと、エクソン52欠失変異によりDp427、Dp260(網膜のみ発現) およびDp140が欠損したC57BL/6J-mdx52マウスを用いた。 【結果】 mdx52マウスでは、社会性行動異常が観察され、扁桃体外側基底核(BLA)にある錐体神経細胞での興奮性シナプス後電流(EPSC)の振幅低下、内側前頭前野からBLAの錐体神経細胞へ投射されるグルタミン酸放出の減少、シナプス前終末にあるグルタミン酸輸送体の小胞型グルタミン酸トランスポーター(VGLUT1)の発現低下、および興奮性シナプス前終末にあるシナプス小胞数の減少を認めた。さらに、エクソン53スキップを誘導するアンチセンス核酸医薬の脳室内投与、またはDp140 mRNA薬のBLA投与で、Dp140を回復させることで、mdx52マウスBLAにおける社会性行動、電気生理学的異常およびVGLUT1発現が改善された。これらの結果から、Dp140がグルタミン酸放出の制御に影響を及ぼすことで、社会性行動に関与している可能性が示唆された。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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