2022 Fiscal Year Annual Research Report
重力レンズによる宇宙の大規模構造と原始ブラックホールから探る暗黒物質の包括的研究
Project/Area Number |
21J10314
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 素直 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | すばるHSC / 大規模構造 / 弱い重力レンズ / アクシオン / マイクロレンズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、暗黒物質の性質解明のために二つの手法によって研究を進めてきた。 (A)すばるHSCの弱い重力レンズデータを使った宇宙の標準模型の検証 弱い重力レンズは宇宙の物質の密度揺らぎによって背景銀河の形状を系統的に歪める効果である。我々はすばるHyper Suprime-Cam (HSC)で取得した弱い重力レンズのデータ解析を行った。本年度は、昨年度のおおよそ3倍のデータを解析するとともに、昨年度の解析では使っていない弱い重力レンズの信号を追加することで統計精度を上げた解析を実行した。また本年度の解析では、弱重力レンズ解析において最も大きな系統誤差の要因である測光的赤方偏移の不定性に対する影響を最小限に抑えた解析を遂行した。この結果、すばるHSCのデータを使って宇宙論パラメタを5%の統計精度で推定することに成功した。また宇宙マイクロ波背景放射との結果を比較したところ2.5σのズレが見つかり、宇宙標準模型の破れを示唆する結果を得た。 (B)マイクロレンズ現象を使った暗黒物質候補天体の探査 昨年度は、原始ブラックホールの探査のためにHSCで観測したマイクロレンズのデータ解析を行った。我々はこのマイクロレンズ観測の結果を、アクシオン星のシナリオに応用できることに着目しデータの再解析を行った。アクシオンは暗黒物質の候補であり量子色理論の強いCP問題を解決するために導入された理論上の物質である。すばるHSCおよびOptical Gravitational Lensing Experimentで観測された月質量程度のマイクロレンズがアクシオン星によって起こされたという仮定の元で解析をすると、アクシオン質量が10-9から10-6eVであるという結果を得た。この質量帯は先行研究では調べきれていない質量帯であり、将来の他観測によって多角的な検証が期待される。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Remarks |
上のwebpageの発表は2023年4月であるが、研究自体は本年度行われたものである。
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