2021 Fiscal Year Annual Research Report
製作技術の分析を主軸とした魏晋南北朝隋唐陶俑の考古学的研究
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21J10388
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
大平 理紗 京都府立大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | SfM / 俑 / 陶車 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、魏晋南北朝隋唐時代の陶俑を研究対象とし、①その外形に表出した制度・文化の解明、および②製作痕跡からみえる製作工程や技術、生産体制の復元 という2方向からのアプローチをおこなっている。 令和3年度は①分析に必要となる二次資料の集成を予定通り進め、それをもとに、魏晋南北朝における一部の陶牛車・馬車の形態の特殊性に注目した研究の成果を学会にて発表した。陶牛車・馬車は墓内で俑群が形成する行列の中核的な存在であると考えられるが、その実際の形態を象ったと思しい車模型から、車制の変遷とその経緯を把握できるようになった。 ②陶俑の同型品抽出による編年の実現にむけて、国内所蔵機関にて資料の観察を実施しながら、三次元モデルを生成するための写真撮影の申請手続きを進めた。資料閲覧の時点で、さまざまな知見が得られたが、従来のような写真・実測図による記録方法では、そのことを客観的に示すことが困難であるため、三次元モデルでの比較が必須である。三次元データ取得のために、データ管理に関する誓約書の作成やその申請に時間を要したが、年度内に博物館所蔵の陶俑数点について三次元モデルの生成が実現したため、次年度はまずその比較手法の確立が課題となる。なお、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、国外での調査は叶わなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により、年度の後半に予定していた海外調査が実施できなかった影響が大きく、さらに、それを補うべき国内所蔵品の調査では、三次元モデルの扱いに関する文書の取り交わしなど、手続き関係が予想より難航したのは大きな誤算であった。ただし、二次資料や文献史料を用いた分析が進み、成果につながる作業を進行できたことで、遅れの一部を取り戻したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)海外渡航の可能性に期待しつつ、不可能な場合は国内所蔵機関での調査を進め、分析手法の確立と、三次元モデルでの提示方法に重きを置いた研究を発表することで、研究全体の完成に備える。 (2)集成した2次資料を有意義に解釈するため、史料の読解を進め、制度や文化が俑群にどのように反映されているのか考察する。
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