2021 Fiscal Year Annual Research Report
上下位置不安定性を抑制した高縦長度トカマク装置の実現
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21J10404
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
内藤 晋 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | トカマクプラズマ / 垂直位置不安定性 / サドルコイル / 非軸対称磁場 / MHD安定性解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
真空磁場の曲率を表すn-indexが負で、垂直位置が不安定なトカマクプラズマに、複数のサドルコイルが生成する非軸対称磁場を重畳する実験を行った。実験は縦長断面トカマクが生成可能な小型トカマク装置、PHiXに合計10個のサドルコイルを設置し、行われた。それぞれのサドルコイルに、プラズマ電流と同程度のオーダーの電流を通電することで、安定化板や位置のフィードバック制御を用いずに垂直位置を安定化できることが確認された。垂直位置の安定化は、磁気計測だけでなく、干渉計での電子密度計測や高速カメラ画像のデータからも裏付けられた。垂直位置が安定化できた際のプラズマ磁気面形状を、3次元平衡計算コードVMECにより評価した。VMECの計算結果により、プラズマ垂直位置を安定化できていた時、トロイダル平均縦長度が1.2程度のプラズマが生成されていたことが示唆された。さらに、垂直位置がドリフトしてしまう場合でも、サドルコイル電流の2乗に比例してドリフト速度が減少することが明らかになった。 トカマク型装置での実験に加え、3次元線形理想MHD安定性解析コードTERPSICHOREを用いて、サドルコイルが生成する非軸対称磁場がプラズマ垂直位置に及ぼす影響を解析した。安定性解析の結果は、実験と同様、サドルコイルの非軸対称磁場に垂直位置安定化効果があることを示すものだった。また、垂直位置の線形成長率は、サドルコイル電流の2乗に線形比例して減少することが確認され、実験で得られた傾向を再現できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りトカマクプラズマでの実験を行い、サドルコイルの持つ垂直位置安定化効果を確認することができた。またプラズマ垂直位置に関する安定性解析や、非軸対称磁場による新古典輸送への影響の評価が進んでおり、研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
名古屋大学のTOKASTAR装置では、上下三角形コイル(ULTコイル)を用いて垂直位置の安定化実験を行っている。ULTコイルとサドルコイルそれぞれの垂直位置安定化効果を、TERPSICHOREコードを用いて比較し、非軸対称磁場の構造の差異が位置安定化効果にどのような影響を及ぼすか検討する。また、既存サドルコイルより、垂直位置安定化効果の高いコイルの設計を行う。
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