2021 Fiscal Year Annual Research Report
The epigenetic mechanism of inhibition of renal fibrosis by the histone modification inhibitor Dznep
Project/Area Number |
21J10424
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 智貴 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
|
Keywords | 慢性腎臓病 / エピジェネティクス / Dznep / 尿細管細胞 / 低酸素 / HIF |
Outline of Annual Research Achievements |
虚血再灌流障害マウスにDznepを投与すると、腎線維化の抑制と、虚血再灌流障害で上昇する線維化因子TIMP2の発現抑制が認められた。ヒト近位尿細管細胞 (HK-2細胞)にて、Dznep投与はH3K4me3やH3K27me3などの様々なヒストンメチル化に抑制的に働いた。TIMP2遺伝子領域のH3K4me3のChip-qPCRを行うと、Dznep投与で発現促進マーカーであるH3K4me3が減少し、さらにH3K4のメチル化酵素の抑制にても、TIMP2の発現が減少した。TIMP2遺伝子領域のクロマチン状態の変化をFAIRE-qPCRで評価をすると、Dznep投与は低酸素で上昇するオープンクロマチンの割合を抑制した。また、TIMP2遺伝子のHIF1α結合領域において、HIF1αのChip-qPCRを行うと、Dznep は低酸素で上昇をするHIF1αの結合を抑制した。また、TIMP2をHK-2細胞で過剰発現すると、生細胞が減少し、caspase 3/7活性が増加した。その逆に、TIMP2をsiRNAにより抑制すると、生細胞が増加し、caspase 3/7活性が低下した。Dznep投与は、HK-2細胞において生細胞数を増加させ、caspase3/7活性を低下させるが、TIMP2過剰発現を同時に行うと、その保護効果は打ち消される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Dznepの主なターゲットであるH3K27me3とのTIMP2の発現量に関連がない可能性が出てきて、当初の研究計画とは変わったが、その代わりにH3K4me3とHIFとオープンクロマチンの関連の可能性について証明が出来たため、こちらの関連を示していく。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに、尿細管細胞においてTIMP2が低酸素で上昇、Dznepで抑制するメカニズムに、H3K4me3やオープンクロマチン、そして低酸素誘導因子であるHIF1αが関わっていることが分かった。HIF1αとH3K4me3やオープンクロマチンなどのエピジェネティクスの関連をさらに解明していく。まずは、HIF1αの過剰発現と抑制によって、実際にTIMP2の発現がどのように変化をするかについての検討をする。Dznepがヒストン修飾を変えて、オープンクロマチンを誘導することで、HIF1αがTIMP2遺伝子に結合しやすくするのか、その逆に、DznepがHIF1αに直接作用し、オープンクロマチンを増やすのかどうかについての検討をする。具体的には、HIf1αをsiRNAした状況において、低酸素刺激によってオープンクロマチンの状態がどのように変化をするかをFAIRE (Formaldehyde-Assisted Isolation of Regulatory Elements)-qPCRで調べる。さらに、HIFを活性化することで腎性貧血の治療薬として、最近認可されたHIF-PH阻害薬をしようすることで、TIMP2の発現にどのような影響を与えるかについても検討する。この結果より、HIF-PH阻害薬が腎線維化に対して、TIMP2を介してどのような影響を与えるかについて分かる。さらに、これらの結果とこれまでの実験結果を踏まえて、学術論文化を年度内に成功させることとする。
|
Research Products
(1 results)