2021 Fiscal Year Annual Research Report
日本古代中世移行期における地域間交流の考古学的研究
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21J10467
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
舘内 魁生 東北大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 考古学 / 平安時代 / 土師器・須恵器 / 東北地方 / 地域間交流 / 幾何学的形態測定学 / 実験考古学 / 3次元計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は東北地方の遺跡出土の土器を実見し、法量(厚さ含む)・色調・3次元データ・微細痕跡の写真データなどを得た。現在までに100以上の遺跡から、5000点を越す土器のデータを取得した。本年度後半は、これらのデータを整理しつつ、地域間の比較を集中的に行った。その際、量的なデータに対しては統計的な手法を積極的に用いることとした。結果、以下の見通しを得た。 1,幾何学的形態測定学による土器形態の比較の結果、いくつかの形態的特徴ごとに異なる地域圏が設定できた。陸奥国といった政治的な枠組みによって行われる地域間交流と、これに左右されない伝統的な地域間交流の重層性が窺えた。また、この地域圏の時間的な変化も可視化され、中世へ移行する中での地域間交流の変化が判明した。12世紀の京都系土器の分析でも、東北地方内の形態差を可視化することに成功した。 2,1に関連して、3次元計測した土器から得た2次元投影図を利用し、土器の歪みが解析結果に与える影響を検討した。成果は2022年度中に論文として発表する予定である。 3,色調の分析では、宮城県多賀城跡から出土した土器の色調を量的に計測し、京都の土器の視覚的な影響を論じた。定量的なデータをもとに議論することで、従来は不明瞭だった視覚的な情報の交流を指摘できた。成果は本年度中に学会発表したが、今後論文化を目指す予定である。 4,製作技術の分析では、3次元計測によって製作痕跡を記録し、その空間分布や遺跡間の違いを可視化した。結果、貞観地震による技術移入・拡散や、京都系土器製作技術の地域性などが明確になった。成果は2022年度中に論文として発表する予定である。 なお、以上の成果は筆者の博士論文でも一部引用しており、博士論文は2022年4月以降PDFで公開される予定である。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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