2021 Fiscal Year Annual Research Report
新規多機能ナノプローブ法の開発とナノトライボロジーへの応用
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21J10543
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 祐也 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / トライボロジー / 固液界面 / 潤滑 |
Outline of Annual Research Achievements |
潤滑油/固体界面における潤滑油分子の挙動の分析は、潤滑の理解において重要である。これまで、我々は原子間力顕微鏡 (AFM) をベースとした、固体表面に対して垂直・水平方向の力を同時検出可能な技術、バイモーダルqPlus AFMを独自に開発してきた。本研究では、これを原子スケールの潤滑分析技術として確立するために、力検出感度の向上、検出量の定量化などの技術開発を行う。開発した技術によって潤滑油/固体界面を分析し、微視的な界面構造および界面における潤滑油の局所的な粘性を明らかにすることを目指す。 本年度は、まず、水平力検出の定量化に取り組んだ。連続体力学に基づいてセンサの振動モード解析を行い、センサの振動状態の定量的な解析に成功した。また、解析結果は実際に作製したセンサの特性とよく一致することを確認した。これにより、本手法において水平力を定量検出することが可能となった。また、摩擦異方性を持つ試料を測定することで、本手法によって水平方向の相互作用を検出していることを実験的に示した。 本手法に周波数変調(FM)方式を適用するため、FM検出器の導入を行なった。これにより、垂直・水平力の保存力成分と散逸力成分を別々に定量検出することが可能となった。 また、温度可変装置の導入を行い、大気中で試料温度が125℃の場合にも垂直・水平力の同時検出が可能であることを確認した。今後、これを潤滑油/固体界面に適用する予定である。 さらに、添加剤を加えた潤滑油/固体界面について、添加前後におけるその場分析を行い、固体表面近傍に形成された潤滑層の界面構造と垂直・水平方向の力学特性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
センサの振動モードの解析により、水平方向の相互作用の定量検出が可能となった。また、水平方向の相互作用を検出可能であるという実験的証拠を得た。さらに、FM検出器と温度可変装置の導入が完了し、本課題で予定していた技術開発を完遂した。実験面では、添加剤を加えた系について、界面構造と力学特性の変化のその場観察に成功しており、研究は順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
技術開発が完了したことから、今後はこれを用いた潤滑界面分析を中心に行う。具体的には、添加剤を加えた系について、温度変化に対する界面構造・力学特性の変化を分析する。また、異なる固体表面上での界面構造・力学特性の違いを分析し、固体表面-液体分子間の相互作用がそれらに及ぼす影響を明らかにしていく。
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