2021 Fiscal Year Annual Research Report
電子スピン共鳴分光による悪性腫瘍のpHマッピングと予後予測モデルの開発
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21J10562
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中岡 梨々子 北海道大学, 情報科学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2022-03-31
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Keywords | がん / 細胞外pH / 電子常磁性共鳴 / CA IX / in vivo |
Outline of Annual Research Achievements |
がん治療の最適化のために、治療効果の早期判定方法が求められている。がん細胞で特異的に発現する炭酸脱水素酵素(CA)IXはpH調節機能を担っていることから、近年、CA IXの阻害による化学療法が研究されている。CA IX阻害によりがん細胞のpH調節機能が阻害されると、細胞内pHが低下し、それに伴い細胞外pHも変化すると考えられる。従って、CA IX阻害による腫瘍モデルマウスの細胞外pHの変化を検出することができれば、CA IX阻害による治療効果を検出することができる。電子常磁性共鳴分光(EPR)法では、腫瘍モデルマウスの細胞外pHイメージングが可能である。しかし、高精度なin vivoイメージングを実現するためには、EPR分光装置の高感度化が求められる。 本研究では、EPR受信システムの高感度化により高精度pHイメージングを実現し、細胞外pHイメージングを用いて固形腫瘍におけるCA IX阻害による治療効果の早期評価の実現可能性を示した。高感度pHイメージングの実現における課題は、EPRスペクトルの信号対雑音比(SNR)の最大化であった。EPRスペクトルのSNRを最大化するために、EPR受信システムを高感度化した。デジタル位相検波システムの導入により、EPRスペクトルにおける信号対雑音比を従来から2倍向上させることに成功した。細胞外pHイメージングを用いたCA IX阻害治療効果の早期評価の実現には、CA IX阻害による細胞外pHの変化を検出することが課題であった。腫瘍モデルマウスにCA IX阻害剤を投与する前後で高精度細胞外pHイメージングを行い、CA IX阻害により細胞外pHが低下する傾向を検出した。CA IX阻害による細胞外pHの変化と腫瘍成長の遅れを実験的に明らかにしたことにより、細胞外pHの変化をCA IX阻害剤による治療効果の早期評価に適用する実現可能性を示した。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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