2021 Fiscal Year Annual Research Report
多成分・非平衡系における液体分子の蒸発メカニズムの解明
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21J10669
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田部 広風海 北海道大学, 大学院工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 平衡・非平衡に依存しない蒸発係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,液体を構成する「蒸気分子」と非凝縮性の「気体分子」で構成された二成分混合系における蒸気分子の蒸発係数の算出である.蒸発係数とは,単位時間・単位面積あたりの蒸気分子の蒸発量を表すパラメータであり,算出するための手法としては分子一個一個の動きを追跡可能な分子スケールのシミュレーション手法である分子動力学法を使用した.蒸発係数を正しく算出することにより,最終的にはマクロスケールの数値解析手法においてより正確に液体の蒸発を表現した数値解析を行うことが可能となる. 本研究では平衡状態下および非平衡状態下での蒸発係数の値の比較を行うことで平衡・非平衡の度合いと蒸気係数の関係を調査し,同様に計算系に存在する気体分子数と蒸発係数の関係も調査した.また,非凝縮性の気体分子は液体表面に多く滞在し吸着膜を形成するということが報告されているため,気体分子が蒸気分子の蒸発にどのような影響を与えるのかの議論も行った.調査の結果として,蒸発係数,すなわち蒸気分子の蒸発量は平衡・非平衡にはほとんど依存しないことが分かった.一方で,蒸発係数は計算系に存在する気体分子数(気体の分圧)の増加に伴ってその値が大きく減少する,すなわち蒸発が抑制されるということが明らかになった.また,蒸発が妨げられた蒸気分子の挙動を追跡した結果,液体表面に形成される気体分子の吸着膜は蒸気分子の蒸発にほとんど影響を与えておらず,液面近傍の気相領域に存在する気体分子との衝突によってその蒸発が多く抑制されていることが明らかになった. 本研究によって,液体の蒸発を伴った様々な物理現象に対して,計算系の平衡・非平衡,および気体の存在を正確に考慮したマクロスケールの数値解析を行うことが可能となる.そのため,本研究では蒸発現象に対する流体解析の発展に寄与する結果が得られたと言える.
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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