2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21J10725
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保田 祐貴 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
|
Keywords | 奥行き錯覚 / 奥行き手がかり / 下側領域手がかり / 奥行き推定モデル / クレーター錯視図形 / 運動定義領域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,奥行き錯覚の予測と階段歩行の拡張・制御の基礎調査として,段差の奥行き感や質感を変化させる画像変調手法を検討した.その中で,運動視差を模擬した水平運動を持つ運動定義領域が,画像下側の領域を手前に見せる効果があることを発見した. 下側領域手がかりが図地手がかりの一つであり,潜在的な奥行き手がかりであることは,従来から知られていた.本成果は,運動定義領域が,画像下側の領域の奥行き感を強調することを,新たに確認した.同時に,下側奥行き手がかりが,遮蔽や運動の連続性などその他の要因と競合・強調する場合に,奥行き感がどのように影響を受けるかを調査した.これらの研究成果は,査読付国際論文誌Journal of Illusion誌に採択され,出版された[1]. さらに,計算機モデルが奥行き錯覚をどのように知覚するかの基礎的な検討として,未学習のクレーター錯視図形を,単眼奥行き推定モデルに入力したところ,人と類似した凹凸面が応答されることを発見した.この研究成果は,査読付国際会議ALIFE 2021に採択され,発表された[2] そのほか,プロジェクタとカメラを用いた階段への映像投影システムを構築し,映像投影によって段差の奥行き感・質感がどのように変化するかの検討を進めた. [1]Y Kubota, et al.: Motion-driven enhancement of a lower region cue in depth perception, Journal of Illusion, 3. [2]R Mima, Y Kubota, and M Inami: A Monocular Depth Estimator to Perceive Crater Illusions in Several Characteristics, Artificial Life (ALIFE) 2021, pp.22
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,奥行き錯覚の予測と階段歩行の拡張・制御の基礎調査を行う中で, 運動定義領域が下側領域をほぼ安定して手前に見せる効果があるという新規の奥行き錯覚が発見された.また,計算機モデルが未学習のクレーター錯視に対して人と類似した応答を示すことが示唆された. これらの研究成果は,人がどのように奥行きを把握しているか,人と計算機の奥行き把握がどのように類似しているかを示すとともに, 人の奥行き感を予測する計算機モデルを作る上での課題が明らかとなってきた. 来年度以降,これらの課題を踏まえつつ, 人の奥行き応答に関するデータ収集や奥行き応答の計算機再現に向けた検討を進めていきたい.
|
Strategy for Future Research Activity |
(1) 今年度構築した,プロジェクタを用いた映像投影システムや新規に発見した奥行き錯覚をもとに,卓上や床面で階段模型に映像を投影するシステムの構築を進める.特に,運動視差や階段面の質感・陰影関係に変更を加えた際に,階段の奥行き感や段差の明瞭さがどのように影響を受けるかを調査する予定である. (2) 今年度の計算機へ奥行き錯覚を入力した際の応答を観察する研究を発展させ,様々な人工画像(奥行き錯覚を示す画像)に対して,計算機モデルと人の応答が類似するかを検討する. これらの成果は,計算機が奥行き錯覚を予測する上での足掛かりとなることが期待される.
|
Research Products
(3 results)