2021 Fiscal Year Annual Research Report
磁気的相互作用を考慮した磁気ギヤードモータの定量解析モデル構築と最適制御法の確立
Project/Area Number |
21J10759
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 亘輝 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
|
Keywords | 磁気ギヤードモータ / 磁気的相互作用 / 埋込磁石型 / トルク式 / 力率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は磁気的相互作用を考慮した磁気ギヤードモータの定式化,高効率制御指針に関する検討を行った。 まず,従来の永久磁石同期モータの電圧方程式へ変調磁束の影響を考慮し,磁気的相互作用が生じる埋込磁石型磁気ギヤードモータ(IPM-MGM)の電圧方程式を定式化した。考察の結果,磁気的相互作用があるIPM-MGMの場合は,負荷が増加すると力率が変化することがわかった。考察の妥当性検証のため,有限要素法による解析および実測によりIPM-MGMの力率を評価した。その結果,計算値と実測値は定性的によく一致し,磁気的相互作用により負荷が増加すると力率が変化することが明らかとなった。 次いで,IPM-MGMは磁気的相互作用により,磁石磁束のみならず電機子磁束も変調されることに着目し,磁石磁束と電機子磁束の関係をベクトル図へ整理しトルク方程式を導出した。導出と同時にパラメータの同定方法の検討を行った。磁気ギヤードモータは低速および高速で回転する極対数の異なる2つの回転子で構成されるため,トルク式でトルクを求めるには各回転子磁石の磁束を個別に算定する必要があった。しかし,実測でこれを求めるのは困難であったため,電磁界解析を用いて一方の回転子磁石を空気へ置き換えることで他方の磁石磁束を個別に同定した。トルク式の妥当性検証のため,電流位相対トルク特性についてトルク式による計算値と実測値との比較を行った。その結果,計算値と実測値は相対誤差2.1%以内と良好な一致を示し,提案式およびパラメータの同定方法の妥当性が明らかとなった。 最後に,高効率制御に関する検討を行った。有限要素法による解析と現有機による実験の両面から検討を行い,IPM-MGMは,電流位相を進めた場合のトルクの低下割合より磁気的損失の低減効果のほうが大きいため,電流位相を進めた場合に高効率および高力率となることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は定量解析モデルの構築と最適制御法の確立を目的とし磁気ギヤードモータの高性能化を目指している。本年度は電圧およびトルク方程式の定式化を達成するとともに高効率制御指針を明らかとしたことから,本究はおおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の検討において,磁気的相互作用を利用すると弱め界磁制御をした場合に磁気ギヤ部の磁気損失を低減可能であることがわかった。一方で,小型EV等への応用を考えた際に少ない電流で運転範囲を拡大するのが難しいという結果が得られた。そこで,磁石量を抑えつつ駆動範囲を拡大する方法として磁気ギヤとSRモータを組み合わせた新しい磁気ギヤードモータも検討対象に含めて,磁気ギヤードモータの高性能化を目指す。
|
Research Products
(5 results)