2021 Fiscal Year Annual Research Report
コナジラミ類の生態解明のための高分解能近接マイクロフォンアレイの開発研究
Project/Area Number |
21J10818
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
於保 拓高 筑波大学, 理工情報生命学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 生物音響 / マイクロフォンアレイ / 音響トラッキング / 位置推定 / 生態モニタリング / コナジラミ類 / 農業害虫 / 防除 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,超高時間・空間分解能を有するマイクロフォンアレイをコア技術とする,コナジラミ類の発する音響情報を可視化するデバイスを開発し,それを用いてコナジラミ類の音響的生態(コミュニケーション)の解明することを目的としている.2021年度は,体長が1mm程度の成虫の発音個体位置を推定するために必要な,多チャンネル高密度マイクロフォンアレイ本体を設計・構築した.また,発音個体位置推定における葉体特性を利用した誤差補正の可能性について検討した結果,コナジラミ類が起こす振動が伝わる葉体では,葉脈隆起等が原因で,葉体上の伝搬速度は一定でなく,位置誤差の要因となり得る事が分かった.そこで,葉身上の音響・振動伝搬特性と葉脈等の影響の程度について検証した結果,於保ら「マイクロフォンアレイを用いるコナジラミ類発音推定における葉脈の影響」,安藤ら「葉身上のコナジラミ類の発する音響・振動情報の伝搬特性」の研究成果が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は,当初の予定通りに超高時間・空間分解能を有する多チャンネル高密度マイクロフォンアレイの本体を設計・構築できており,コナジラミ類の発音を狭間隔で音響計測可能な計測環境の構築を着実に進めている.また,発音個体位置推定における葉体特性を利用した誤差補正については,葉脈隆起等が原因で,葉体上の伝搬速度が一定ではなく,位置誤差の原因になる仮説を立て検証し成果が得られた.以上,進捗状況としておおむね順調と評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究により,発音個体位置推定に於ける葉体固有の音響特性の影響を明らかにした.また,超高時間・空間分解能を有する多チャンネル高密度マイクロフォンアレイの設計・構築まで至っている.そこで今後は,2021年度調査した葉体固有の音響特性を軸に,発音位置推定の誤差補正を検証する.また,誤差補正技術と高密度マイクロフォンアレイ技術を統合した発音位置推定を試みる.最終的には,マイクロフォンアレイから得られる発音位置と,動画像を元に個体のトラッキングを実現することを目標とする.
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