2021 Fiscal Year Annual Research Report
酵母における新規キシロース同化経路の構築およびナイロンモノマー発酵生産への応用
Project/Area Number |
21J10891
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
湯川 貴弘 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 酵母 / キシロース / Weimberg pathway / 3,4-dihydroxybutyrate / 3-hydroxybutyrolactone |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新規キシロース同化経路を介して合成される2-ケトグルタル酸を出発基質として、木質系バイオマスから得られるグルコースとキシロースからナイロンモノマーであるカプロラクタムを生産することを目指した。新規キシロース同化経路であるWeimberg pathwayが導入された酵母に、2-ケトグルタル酸からのカプロラクタム合成経路を構成する遺伝子を導入した。目的の遺伝子が導入された酵母を、グルコースとキシロースを含む培地で培養したが目的物質の生産は確認されなかった。そこで、研究計画を一部変更し、バイオ生産が強く望まれている3-ヒドロキシブチロラクトンを生産することを目指した。3-ヒドロキシブチロラクトンは、新規キシロース同化経路を一部改変することで合成可能である。遺伝子の破壊および過剰発現を行い、酵母を宿主としたキシロースからの3-ヒドロキシブチロラクトン生産を達成した。しかしながら、その収率は12%と非常に低かった。そこで、新規キシロース同化経路のボトルネック酵素であるXylDの最適pHと酵母の最適培養pHの違いに着目した。3-ヒドロキシブチロラクトン合成経路が導入された酵母を普段培養されない弱アルカリ性で培養した結果、3-ヒドロキシブチロラクトンおよびその開環構造体である3,4-ジヒドロキシ酪酸の収率を大幅に向上させた。既報の最高収率が48%であるのに対し、本研究では最終的に80%と高収率で生産することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナイロンモノマーであるカプロラクタム合成のための遺伝子を酵母に導入したが、グルコースおよびキシロースからのカプロラクタム合成は確認されなかった。一方、計画を一部変更し、独自技術である新規キシロース同化経路を改変することで社会的にニーズの高い3-ヒドロキシブチロラクトン生産を目指した。その結果、3-ヒドロキシブチロラクトンおよび3,4-ジヒドロキシ酪酸をこれまでの報告を上回る高収率で生産することに成功した。その過程で得られた知見は、新規同化経路を介したキシロース代謝技術に広く応用できる可能性があり、当初の想定より良い成果を得られた。これらを総合的に判断し、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究の過程で、独自技術である酵母を宿主とした新規同化経路を介したキシロース代謝技術に未だ研究開発要素が残されていることが明らかとなった。特に、主要な中間生成物であるキシロネートの蓄積を避けるため、新規同化経路を構成する重要酵素であるXylDの改良を試みる。
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Research Products
(2 results)