2021 Fiscal Year Annual Research Report
異材接合部の耐食性・強度を飛躍的に向上させる革新的高機能Al合金の創製
Project/Area Number |
21J10917
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小鯖 匠 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
|
Keywords | 異種金属接触腐食 / アルミニウム合金 / 局部腐食 / 陽極酸化処理 / 腐食防食 / 耐食性 / 金属間化合物 / 表面処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルミニウム合金AA5083上に陽極酸化処理を施し、大気環境を模擬した中性塩化物溶液中での純鉄もしくはステンレス鋼と接触時のAA5083の腐食挙動の解析を行った。異材接触時のAA5083の局部腐食の起点は、Feを含む金属間化合物であるAl6(Fe,Mn)であることが推測された。所定の条件で陽極酸化処理を施すことで、たとえステンレス鋼と接触した場合においても、AA5083上に局部腐食が発生しないことが分かった。陽極酸化処理を施したAA5083上には、Al母相とAl6(Fe,Mn)上で厚さの異なる陽極酸化皮膜の生成が確認された。アルミニウム合金の金属間化合物を起点とした局部腐食の発生メカニズムは、金属間化合物上での酸素還元反応により誘起される金属間化合物周囲の液性のアルカリ化と金属間化合物周辺のAl母相のアルカリ溶解がごく初期に起こる反応と報告されている。本研究で施したAA5083上での陽極酸化皮膜は、Al6(Fe,Mn)上での酸素還元反応の抑制とAl母相の耐アルカリ溶解性の向上に寄与していることが分かった。その結果、純鉄やステンレス鋼と接触させた場合においても、AA5083上での局部腐食の発生を抑制することが可能であることが推察される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
陽極酸化処理におけるAA5083の耐食性向上の評価指針を確立することができたため。AA5083中の金属間化合物とAl母相上に生成した陽極酸化皮膜が局部腐食の発生過程に与える影響とその評価手法を確立したことで、新規表面処理に関しても同様の評価手法から耐食性向上を評価することが可能となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、陽極酸化処理による異材接触時のAl合金の耐食性向上を図ることに成功した。そのため、次年度には、本年度に確立した評価指針に基づいた新規クロメートフリー処理の開発にあたる。
|
Research Products
(7 results)