2021 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロインジウム化を活用した新奇炭素-フッ素結合変換反応の開発
Project/Area Number |
21J11006
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
矢田 哲治 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
|
Keywords | インジウム / トリスペンタフルオロフェニルボラン / ヘテロインジウム化 / カルボボリル化 / gem-ジフルオロアルケン / α-フルオロスチレン |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘテロインジウム化を利用し、炭素-フッ素結合変換反応によるフルオロイソクマリン合成を達成した。合成容易なgem-ジフルオロアルケンを出発物質とし、インジウム触媒によるヘテロメタル化による環化を経由することで、含フッ素イソクマリンが得られることを見出した。アルケン部位を活性化可能な金属塩を種々検討した結果、インジウム塩のみ特異的に目的物を与え、インジウム塩の穏やかなルイス酸性と不飽和結合に対する親和性が重要であることが判明した。量子化学計算を行い、詳細な反応機構を明らかにした。また、β-フッ素脱離過程においては、二つのインジウム部位がフッ素原子と相互作用していることがNBO計算から明らかとなった。従来法はパーフルオロイソクマリン合成のみ可能であり、非常に一般性に乏しいのに対し、本手法では幅広い基質適用範囲を有することが判明した。本手法はヘテロ原子のみならず、炭素原子にも展開することが可能であり、カルボメタル化を利用したα-フルオロスチレンとケイ素求核種のクロスカップリング反応を達成した。金属種検討を行った結果、インジウム塩とトリスペンタフルオロフェニルボラン(BCF)のみ適用可能であり、特にBCFを用いた場合に最も少ない触媒量で目的物が得られた。DFT計算による機構解明を試みたところ、本反応はBCFがα-フルオロスチレンのオレフィン部位を活性化し、カルボメタル化が進行したのち、酸素原子により安定化されたシリリウムイオンが生成し、その種が近傍の炭素-フッ素結合を切断することにより、目的物が得られることが判明した。本反応はα-フルオロスチレンのみ適用可能であり、α-クロロスチレンやα-ブロモスチレンは適用できなかった。量子化学計算の結果から、ケイ素とフッ素の高い親和性がフッ素原子選択的な反応を可能にしていることが判明した。
|
Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
|