2021 Fiscal Year Annual Research Report
唾液バイオマーカー計測デバイス開発とヘルスケア診断への応用
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21J11043
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大崎 脩仁 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | Gold nanoparticle / Electrochemical / POCT |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度の研究計画の通り、IgA測定用電気化学バイオセンサの高感度化に取り組んだ。高感度化へのアプローチとしては①電気化学測定条件の最適化、②電極表面への抗体の化学修飾の2点であった。①では、本研究で用いている金ナノ粒子プローブの酸化還元反応について反応速度の点から原理解明を行った。サイクリックボルタンメトリーや微分パルスボルタンメトリーといった電気化学測定法により得られた電流値を既存の理論式に当てはめることで拡散係数や電荷移動速度といった速度論的パラメーターを得た。次いでそのパラメーターの妥当性を検証しバイオセンサにおいて最適な測定条件を求め、感度向上に成功した。また、電極上に抗体を修飾した場合の影響について上記の速度論パラメーターから定量的な情報を得ることで、バイオセンサの原理を定量的に議論することを可能にした。 ②では電極表面への抗体の化学修飾を検討した。電極表面のカルボキシル化処理と化学修飾試薬を組み合わせて抗体を修飾することで化学修飾した。本修飾法を従来手法や化学修飾試薬を使わないコントロール系と比較したところ、およそ6倍以上の感度向上が見られた。これは化学修飾による修飾効率の向上や抗体の配向性を制御したことによると推測され、今年度の目的であった高感度化を達成したものと考えた。今回、達成した感度はヒト由来の唾液試料を利用する場合に十分高感度であり、デバイス化による希釈などに耐えうると考えられる。 令和4年度では、実唾液試料を対象とした添加回収試験などの実証実験を予定しており本研究課題の目的達成に向けて順調に進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた通り金ナノ粒子をプローブとするIgA測定用電気化学バイオセンサの高感度化に取り組んだ。また金ナノ粒子の電極上での振る舞いを定量的に評価するための原理解明にも取り組んだ。結果として研究実績の概要で述べた通り一定の高感度化に成功し、原理解明の点においても反応速度パラメーターを得ることに成功した。 しかしながら、当初予定していたシミュレーション解析による原理解明と金ナノ粒子の形態制御による高感度化ではなく、他のアプローチによる成功であるため(2)おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には研究計画書で示した通り「唾液を利用する日常的な健康診断」の達成に取り組む。開発に成功した高感度バイオセンサを複数のバイオマーカーに展開し、一体化することで健康診断を可能とする。
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Research Products
(7 results)