2021 Fiscal Year Annual Research Report
Challenges for Sustainable Forest Management in a Swidden Agrarian Society: Focusing on the Impacts of Abolishing Swidden Agriculture
Project/Area Number |
21J11058
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
澤井 啓 北海道大学, 文学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | センザンコウ / ヤマアラシ / 希少種猟 / 焼畑農業 / 焼畑農耕民 / カリマンタン / 慣習法 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりインドネシア・カリマンタン島にてフィールドワークが大幅に延期されため、研究活動はこれまでの調査で得た情報・資料の整理、及び先行研究の見直しを中心に行った。また、本研究では焼畑農耕民社会における「脱焼畑」の影響を考察することを課題としていたが、村の水田導入の計画が新型コロナウイルス感染症により延期されたため、研究の課題を変更した。今後は、焼畑農耕民社会におけるセンザンコウ等の希少種猟について、過去から現在までの希少種猟の規模や地域住民が猟を行う意味と重要性、農村部の希少種取引・流通の実態の解明、そして焼畑農業等の土地利用を媒介とした焼畑農耕民と希少種との関わり合い等を明らかにする。最終的に地域社会にとって実現可能性・社会的受容性の高い希少種の保全策の策定や、焼畑をはじめとした焼畑農耕民の生業・土地利用や持続的森林管理と、希少種との共存のあり方について考察することを課題とする。 当該年度では、これまでフィールド調査で得られたデータを精査し、また、文献調査を行い、生業の一つとなっているヤマアラシ・センザンコウ猟の意味と重要性を明らかにした。また、センザンコウ猟のこれまでの動向や、猟を選好する理由、一部住民からの保護への関心の高さなどを明らかにした。次に、日常活動理論のフレームワークを用いて論理的に想定可能な保全策を網羅的に特定し、先述の結果も踏まえつつ、それぞれの保全策を社会的受容性の観点から評価した。その結果、狩猟をめぐる規制を慣習法に導入することが地域社会に最も受け入れられる保全策となりうることが明らかになった。 以上の成果は、環境社会学会研究例会、および第66回環境社会学会研究大会で発表した。その際、参加者およびコメンテーターから貴重な知見を得ることができた。そうしたフィードバックを参考にして英語論文を執筆した。現在国際誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により調査対象地のインドネシアへの入国規制が行われた。その結果、インドネシア北カリマンタン州マリナウ県に在住する調査対象者へのインタビューを中心としたフィールドワークの計画が大幅に遅れた。渡航が出来なかった期間はこれまでに収集したデータから論文を執筆・投稿をしたり、将来の調査計画を立案するための文献調査などを行ったりした。しかし、フィールドワークを調査の中心とする申請者の研究においては、調査対象地の最新の調査データが長らく得られなかったことから、当初の研究計画から大幅に遅れが生じてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、現地調査の計画について期間などを、特にインドネシア情勢に合わせて対応していくものの、最低二回のインドネシアへの渡航を行い、北カリマンタン州マリナウ県の村落でのフィールドワークを行う計画を立てている。特に地域で生業の一つとしてこれまで交易されてきたセンザンコウ以外の希少種猟や林産物採取、人とセンザンコウの焼畑を通した関わり合い、「脱焼畑」の影響などについて、地域住民や希少種の買い取りを行う仲買人に聞き取り調査を行う。また、得られた研究成果をもとにデータをまとめ、学会での発表や、投稿論文を執筆して学会誌へ投稿し、本研究課題を主題とした博士論文のベースとする予定である。
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Research Products
(3 results)