2021 Fiscal Year Annual Research Report
ガス惑星の大気散逸過程及び長時間進化の中心星依存性の統一的理解
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21J11207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三谷 啓人 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 系外惑星 / ホットジュピター / 流体シミュレーション / 惑星大気 / 大気散逸 |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽系外惑星にはホットジュピターと呼ばれる主星の近傍を数日で公転するガス惑星が多数発見されている。ホットジュピターは太陽系からは類推できないような惑星系であり、その形成及び進化過程は一般の惑星系形成を理解する上で重要である。ホットジュピターの大気は主星からの強い紫外線によって加熱され散逸する。大気散逸過程は惑星進化を左右する重要な過程である。近年の観測によって惑星大気散逸が見込まれるにも関わらずライマンアルフの吸収が検出されない惑星系が見つかっているがその起源は明らかになっていない。 本研究では主星からの恒星風の影響を取り入れた多次元輻射流体シミュレーションを行うことで散逸大気の熱化学構造を明らかにすることを目的としている。本年度では実際にシミュレーションを実行した。大気散逸量は恒星風強度にほとんど依存しない一方で恒星風によって散逸した大気が押し込められるためライマンアルファの吸収量が減ることが明らかになった。太陽の100倍程度の非常に強い恒星風はライマンアルファの吸収を著しく制限する。また、近年の観測で用いられるようになったHアルファの吸収についても解析を行なった。Hアルファの吸収はライマンアルファの吸収と異なり恒星風強度にほとんど依存しないことがわかった。これはHアルファの吸収が大気のより下層部分で起こるためである。二つの吸収シグナルを用いることで主星からの恒星風及び紫外線強度について情報が得られることを初めて発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍によって国際的な共同研究が難しくなった。一方で、シミュレーションを進め恒星風強度に観測されるシグナルが強く影響されることが明らかになり、当初の予定以上に観測シグナルに関する計算へ発展した。
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Strategy for Future Research Activity |
散逸大気による吸収シグナルが検出されるか否かを決定する物理的な条件をシミュレーションを用いて明らかにする。これにより観測された惑星大気構造を系統的に理解することができる。
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Research Products
(5 results)