2021 Fiscal Year Annual Research Report
銀河中心領域の短周期惑星の新たな検出手法の開発・惑星形成の銀河系環境依存性の解明
Project/Area Number |
21J11296
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
宮崎 翔太 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 太陽系外惑星 / 重力マイクロレンズ / 銀河系中心 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、重力マイクロレンズ現象の高次効果である「ザララップ効果」を応用することで、銀河系中心領域の短周期惑星に対する新たな発見手法を確立することを目的とする。また、本手法を実際の観測データに適用することで、実際に銀河中心領域の短周期系外惑星を検出し、短周期惑星形成の銀河系環境依存性を解明し、惑星形成論に制限を与えることを最終目標とする。 ザララップ効果とは、重力マイクロレンズ現象の光源星がコンパニオン(星・惑星)をもち、それとの公転運動によって増光率の変動が生じる効果である。本研究はザララップ効果を重力マイクロレンズ現象の光度曲線から検出することで、惑星質量のコンパニオンが探査可能かを調査する。 本年度では、まず、2026年打ち上げ予定のRoman宇宙望遠鏡で観測される高精度な光度曲線において、本手法で惑星が検出し得るのかを調査した。Roman望遠鏡が実行する銀河系中心領域のサーベイ観測(Roman Galactic Time Domain Survey)をシミュレートし、その惑星検出感度を評価することで、Romanミッション期間中に本手法でどのように惑星系が検出されるのか調査した。その結果、本手法の適用のみで、数十個のホットジュピター(短周期巨大ガス惑星)と褐色矮星が検出できることが示された。本研究内容は投稿論文にてまとめられ、無事出版された(Miyazaki et al. 2021)。また、NASAの公式ホームページにて研究内容がプレスリリースされた。この研究において、ザララップ効果の検出は光度曲線の観測精度に大きく依存する事が示されたため、地上の測光精度では検出が難しい事が予想される。しかし、比較的高精度な高増光率イベントにおいては検出が見込めるため、来年度以降は重力マイクロレンズイベントのサンプルを絞って、軽いコンパニオンによるザララップ効果の検出を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、観測シミュレーションと解析的手法を組み合わせることで、宇宙望遠鏡の精度で本手法が適用可能である事が示す事ができた。また、この研究結果を投稿論文にてまとめ、無事出版まで行う事ができた。これにより、地上観測精度における議論も可能になり、地上データにおけるサーベイの指針も得る事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果から、ザララップ効果の検出は光度曲線の観測精度に大きく依存する事が示されたため、地上の測光精度では検出が難しい事が予想される。しかし、比較的高精度な高増光率イベントにおいては検出が見込めるため、来年度以降は重力マイクロレンズイベントのサンプルを絞って、軽いコンパニオンによるザララップ効果の検出を目指す。
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Research Products
(5 results)