2022 Fiscal Year Annual Research Report
脱水応答性繊維形成タンパク質が担う新規乾燥耐性原理の解明
Project/Area Number |
21J11385
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 彬寛 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | クマムシ / 乾燥耐性 / CAHS / 細胞骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
クマムシに固有のタンパク質CAHSは、緩やかな脱水を引き起こす高浸透圧ストレスに応答して可逆的に細胞骨格様の線維構造を形成する。脱水ストレスへの顕著な応答性から、CAHS線維の形成はクマムシの乾燥ストレス耐性に重要であると考えられるが、その保護メカニズムは不明だった。高い乾燥耐性能を持つヨコヅナクマムシの生体内と同程度の濃度のCAHS3タンパク質溶液に脱水環境を模擬する薬剤TFEを加え、線維化を誘導するとゲル状に凝固した。この結果からCAHSタンパク質はクマムシ細胞内を脱水ストレス依存にゲル転移している可能性がある。そこでゲル化による物性への影響を調べるために、CAHS3タンパク質を内包する小胞を作成し、ゲル化前後の硬さの計測を行ったところ、ゲル化に依存して小胞に弾性が検出された。CAHS線維が培養細胞においても機械的な強度の向上に寄与するかを明らかにするために、CAHS3恒常発現培養細胞株を作出し、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、細胞表面の硬さの指標である弾性率を計測した。その結果、線維化の誘導依存に弾性率が向上した。脱水ストレスは細胞体積の減少を引き起こすため、続いて、CAHS線維の形成による体積変化への影響を調べたところ、CAHS3発現細胞では細胞体積の減少が抑制されていた。最後にCAHSの発現による細胞の生存率への影響を調べたところ、CAHS3発現細胞株では高浸透圧ストレス耐性が向上していた。以上の結果から、CAHSタンパク質は脱水ストレス依存に細胞の機械的な強度を向上させることで、脱水にともなう破壊的な変形から細胞を保護するという新たな耐性メカニズムを提唱した。さらに、線維形成能に差のあるCAHSパラログ間でアミノ酸配列を比較解析することで線維形成に関与するモチーフ構造も新たに同定した。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Stress-dependent cell stiffening by tardigrade tolerance proteins that reversibly form a filamentous network and gel.2022
Author(s)
Tanaka A, Nakano T, Watanabe K, Masuda K, Honda G, Kamata S, Yasui R, Kozuka-Hata H, Watanabe C, Chinen T, Kitagawa D, Sawai S, Oyama M, Yanagisawa M, Kunieda T
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Journal Title
PLOS BIOLOGY
Volume: 20
Pages: e3001780
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Stress-dependent cell-stiffening by tardigrade tolerance proteins CAHS through reversible formation of a cytoskeleton-like filamentous network and gel-transition2022
Author(s)
Akihiro Tanaka, Tomomi Nakano, Kento Watanabe, Kazutoshi Masuda, Gen Honda, Shuichi Kamata, Reitaro Yasui, Hiroko Kozuka-Hata, Chiho Watanabe, Takumi Chinen, Daiju Kitagawa, Satoshi Sawai, Masaaki Oyama, Miho Yanagisawa, Takekazu Kunieda
Organizer
15th International Symposium on Tardigrada
Int'l Joint Research
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