2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a Wide-field-of-view Cryogenic Telescope for Observation of Cosmic Microwave Background Polarization
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21J11425
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高倉 隼人 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 宇宙マイクロ波背景放射 / ミリ波望遠鏡 / 広視野 / 偏光角較正 |
Outline of Annual Research Achievements |
インフレーション仮説の検証に向けた宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の偏光観測の精度向上には、望遠鏡の広視野化と冷却が不可欠である。広視野望遠鏡は視野の中で偏光角が回転することが知られており、その精密較正が課題である。日本が主導するCMB偏光観測衛星LiteBIRDに搭載される低周波望遠鏡(観測帯域34-161 GHz)では、18度×9度の視野内で最大1.5度(90分角)の偏光角の回転が生じることが光線追跡シミュレーションにより予想されており、先代のCMB観測衛星Planck(2009-2013年)よりも1桁小さな2.7分角の精度でこれを較正することが要求されている。 本研究では、LiteBIRD低周波望遠鏡アンテナの18度×9度の視野全体における偏光角を、ミリ波光学測定により1.9分角の精度で測定することに成功した。測定は、望遠鏡の鏡面形状と観測波長を共に1/4倍することで、電磁気的に等価なアンテナ光学系を実験室に再現し、室温にて行った。将来的に望遠鏡を極低温に冷却した状態でも較正できるよう、観測信号を模擬する小型参照平面波源を用いた測定装置を専用に開発した。特に、専用に設計したコルゲートホーンを用いて参照平面波源の波面の平面度を高め、近傍界測定によりこれを検証した。また、大口径のワイヤグリッド偏光板を用いて波面の偏光特性の非一様性を低減し、偏光角の測定精度向上を図った。さらに、鏡面全体の電磁場分布を加味した物理光学シミュレーションによりアンテナ光学系の評価を行い、測定や光線追跡シミュレーションと矛盾しない偏光角の分布を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画で予定していた、参照平面波源の改良による偏光角測定の精度向上、測定結果と物理光学シミュレーションの比較のいずれについても、年度内に一定の成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究結果から、LiteBIRD低周波望遠鏡の地上較正において、小型参照平面波源を用いた測定により要求される偏光角の較正精度が達成できる一定の見通しを得た。この成果について取りまとめ、英文査読付学術誌に投稿する。 さらなる高精度化に向けた取り組みとして、偏光角の測定精度が定在波により制限されていることが示唆されていることから、測定周波数を細かく分割して時間領域に変換することでこれを検証する。また、測定とシミュレーションの比較をより高精度に行うため、同手法を適用したアンテナパターン測定も行い、物理光学シミュレーションによる再現が困難な望遠鏡の迷光成分の解析を行う。
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