2021 Fiscal Year Annual Research Report
赤色超巨星を用いた銀河系円盤の二次元金属量分布の解明
Project/Area Number |
21J11555
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 大輔 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 赤色超巨星 / ベテルギウス / 天の川銀河 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目標は、赤色超巨星の近赤外線高分散分光観測を通じて、天の川銀河円盤の広い範囲に位置する恒星の金属量分布を調べることである。コロナ禍の影響で2020-21年度に実施予定であった分光観測の一部が実施できなかった。そのため、2021年度は(1)過去に観測した近赤外線スペクトルを用いた化学組成解析、(2)本研究の基礎付けとしての赤色超巨星の大気の素性の理解、の二つの研究を主に実施した。 前者の研究では、まず赤色巨星やセファイド型変光星などといったいくつかの種類の天体のスペクトルの解析に携わり、その結果を共著者として学会誌で発表した (Fukue et al. 2021; Matsunaga et al. 2021, 2022)。また、赤色超巨星の鉄元素組成を導出するためのパイプラインソフトウェアを制作し、その性能を太陽近傍の赤色超巨星の観測データを用いて試験した。以上の研究により、今後の研究でのデータ解析の基盤を整えた。 後者の研究では、最も近くにある赤色超巨星であるベテルギウスの大気構造とその時間変化の研究を行った。気象衛星ひまわり8号が撮影した可視赤外画像を解析することで、ベテルギウス大気の有効温度とダスト形成の時間変化を調べることで、ベテルギウスの大減光の原因を制限し、その結果を国内外の研究会で発表した。また、いくつかの赤色超巨星の大気の時間変動を低分散分光モニタリングによって調べることを計画し、得られたスペクトルの初期解析結果を国内の研究会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響で当初計画していた観測は進まなかったものの、今後観測データが得られるようになった後にすぐデータを解析できるようなパイプラインソフトの開発が進んだ。また、当初予定していなかった気象衛星を用いた研究により、赤色超巨星の理解を大きく進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず鉄元素のみならず他の元素に対しても赤色超巨星の化学組成を導出可能なパイプラインの開発と試験を進める。またもしコロナ禍の影響が低くなり観測が再開できるようになれば、観測や得られたデータの解析も進める。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Highly Sensitive, Non-cryogenic NIR High-resolution Spectrograph, WINERED2022
Author(s)
Ikeda Yuji、Kondo Sohei、Otsubo Shogo、Hamano Satoshi、Yasui Chikako、Matsunaga Noriyuki、Sameshima Hiroaki、Yoshikawa Tomohiro、Fukue Kei、Nakanishi Kenshi、Kawanishi Takafumi、Watase Ayaka、Nakaoka Tetsuya、Arai Akira、Kinoshita Masaomi、Kitano Ayaka、他11名(Taniguchi Daisuke; 26th)
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Journal Title
Publications of the Astronomical Society of the Pacific
Volume: 134
Pages: 015004
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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