2021 Fiscal Year Annual Research Report
無機金属イオンを用いた放射線検知クロミック液材の創生
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21J11592
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村上 俊太郎 北海道大学, 大学院工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | クロミズム / 酸化タングステン / ドープ / 鉄 / 放射線検知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、鉄腐食に伴う水のイオン分離反応を活用して作製したイオン分離溶液と、金属タングステンが溶解した過酸化水素水を混合してSPSC法を適用することで、鉄元素をドープしたタングステン酸化物Fe-WO3・nH2O(n=0.33, 1, 2)の作製について検討した。本物質は、クロミック特性を有する材料であり、見かけ上は透明の液体である。SPSC法で作製した純粋なタングステン酸化物は、エレクトロクロミズムのみを発現する材料であったが、作製したFe-WO3・nH2Oはフォトクロミズムをはじめ、γ線や電子ビーム、ヘリウムイオンビームに対してクロミズムを示す汎用性の高い材料であることが分かった。鉄以外にも亜鉛や銅など、様々な金属と酸化タングステンを組み合わせた検討も行ったが、クロミズムを発現するものは本研究で取り扱った鉄をドープしたもののみであった。Fe-WO3・nH2Oの平均粒径は4 nm程度であり、SPSC法で作製したタングステン酸化物よりも非常に細かいナノ粒子となっていることが確かめられた。クロミズムの反応メカニズムはEELS解析により行い、タングステンと鉄の両イオンの同時酸化還元反応によってクロミズムが発現することを明らかにした。通常のタングステン酸化物におけるクロミズムのメカニズムは、タングステンイオンの酸化還元反応にのみ依存するため、この反応は新規のものであることが分かった。また、作製したFe-WO3・nH2Oはナノ粒子を含む溶液として存在しているため、ゲルやシート状への加工が容易であり、どの形態でも同様のクロミズムを発現することができた。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(5 results)