2021 Fiscal Year Annual Research Report
Congestion control by information design
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21J11717
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松下 旦 東京大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | ゲーム理論 / 情報デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は情報デザインによる混雑コントロールの手法を開発し、その性能を実証的に評価することを目的としている。2021年度は特に1. 大規模災害時の避難を想定した混雑コントロール手法の開発 2. 株式投資型クラウドファンディングにおける最適プラットフォーム設計に関する実証分析 3. 金銭の収受を伴う政策と伴わない政策を比較するモデルの作成 の3項目を中心に研究を進めた。 1. 原子力災害等の大規模災害発生に伴う集団避難では、多数の車が同一の方向に一斉に避難する上、通行止めや除染の都合で利用可能な道路が制限されることで、深刻な渋滞が発生することが懸念されている。本研究では使用する道路および避難タイミングを避難者に適切に通知することで、渋滞の発生をどの程度抑えられるかを理論的側面から分析している。 2. 情報デザインの潜在的な応用例として、クラウドファンディング(CF)における最適プラットフォーム設計がある。CFでは群衆の知恵(wisdom of crowds)によってプロジェクトを選別して投資を適切に集約する、ある種の「混雑推進」の役割が期待されている。本研究では特に株式投資型CFに着目し、(1)投資家行動の結果として適切なスクリーニングが行われているか、(2)よりwisdom of crowdを活かしやすい情報公開方法の設計はなにか について、理論・実証の両側面から分析を行っている。 3. 金銭の収受を伴う政策と伴わない政策を比較するモデルの一例として、地域制約付きマッチング問題を考えた。政策担当者が税金・補助金により地域制約を満たすマッチングを実現する場合と、金銭を使わずに地域制約を満たすマッチングを実現する場合で、社会厚生や消費者余剰にどのような違いが出るかをデータから推定する枠組みを作成した。 これらの課題に関して、2021年度中は他大学でのセミナー報告および論文投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は上述の3課題に関する理論分析を行うと同時に、自治体、データベース提供企業、株式投資型クラウドファンディング運営者等と交渉し共同研究を開始する等、2022年中に本格的な実証分析を実施する算段を立てた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は1. 大規模災害時の避難を想定した混雑コントロール手法の開発 2. 株式投資型クラウドファンディングにおける最適プラットフォーム設計に関する実証分析 の2課題について、集めたデータを元に実証分析を実施する。また3. 金銭の収受を伴う政策と伴わない政策を比較するモデルの作成 については、マッチングに加えて情報デザインによって実現する均衡を比較するよう、モデルを理論的に拡張する。
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