2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of simulation and control model for shallow geothermal system with arbitrary-condition ground heat exchanger
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21J11799
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小司 優陸 北海道大学, 大学院工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 地中熱 / 再生可能エネルギー / 人工ニューラルネットワーク / 不確実性定量化 / データ同化 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
地中熱交換器数値シミュレーションにおいて用いられる温度応答関数とその畳み込みによる計算手法について,温度応答関数を高速に計算する手法として物理モデルの数値解析結果をANNに学習させる,いわゆる機械学習サロゲートモデルによる高速化手法を開発した.採用以前より研究を行なっていた,地下水流れを伴う地中熱交換器周囲温度応答のANNモデルに関する学術論文が国際誌に掲載された.また,本手法をスリンキー型地中熱交換器に応用した研究も行った.スリンキー型のような複雑形状の地中熱交換器に対してもANNによる代替モデルは十分な精度を示し,大幅な計算高速化が実現できた. さらに,地中熱利用システムシミュレーションにおける不確実性定量化を試みた.数値シミュレーションにおけるモデル不確実性を考慮したモンテカルロシミュレーションにより,実際に運用されている地中熱利用システムの運転を模擬する予測計算を行い実測値と比較した.決定的な予測計算を行う通常のシミュレーションと比較して,モンテカルロシミュレーションにより実測値との誤差・不確実性を説明できる可能性が確認された.また,観測値の情報を数値シミュレーションに統合し状態の不確実性を低減するデータ同化手法を地中熱交換器シミュレーションに応用した.データ同化手法により地中熱交換器シミュレーションにおける不確実性が効果的に低減・定量化できることが確認できた.さらに,本手法を応用することにより土壌有効熱伝導率など地中熱交換器シミュレーションにおけるモデルパラメータを地中熱利用システム実運転データから事後的に推定できることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,複雑形状地中熱交換器に適用可能な地中熱交換器周囲温度場モデルについて,特にスリンキー型地中熱交換器を対象とし,人工ニューラルネットワークにより数値解析を代替するサロゲートモデルを開発した.本手法によりこれまで計算負荷の大きい数値解析に依るしかなかった数値モデルについて,高速に計算可能なANNモデルを構築できることが確認された. また,地中熱利用システムの性能予測における不確実性定量化について,モンテカルロシミュレーションにより実際の地中熱利用システムの運用データに対するモデル計算の誤差を表現できることが示唆された.これについて,国内外の学会で研究成果を発表している. さらに,数値モデルと観測値を統合することにより不確実性を低減するデータ同化手法について,地中熱交換器シミュレーションモデルに対しても応用が可能であることを確認した.特に,データ同化手法の一種であるアンサンブルカルマンフィルタを用いて,数値モデルにおいて不確実性の大きいモデルパラメータをより高精度に推定できた. 以上のことを総合的に判断し,本研究課題は順調に進展していると評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,これまでに開発した人工ニューラルネットワークサロゲートモデルを利用した地中熱利用システムシミュレーションツールを開発し,これにデータ同化を応用したシステムを開発する.またこれを用いて,不確実性を考慮した性能予測シミュレーションにおいて誤差を低減することを試みる.さらに,不確実性を考慮したシステム性能予測計算をモデル予測制御手法に組み込み,地中熱利用システムの制御に与える影響を明らかにする.
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