2021 Fiscal Year Annual Research Report
脱着構造可変機構を備えた多環境適応ロボットにおける認識行動制御システムの構成法
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21J11850
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
真壁 佑 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 移動作業ロボット / トランスフォーマ / ヒューマノイド / 水中ロボット / 冗長センサシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は多環境適応形態可変ロボットシステムの構成要素として、(A)体内分散型センサモジュールの設計開発、(B)多環境多形態活動ヒューマノイドにおけるシミュレータと実機を併用した評価、(C)実環境での動作実現応用を見据えた等身大アクチュエータモジュールの設計開発を進めた。 (A)について、力覚センサ、姿勢覚センサ、近接覚センサを備え量産が容易な複合センサモジュールと、防水ケースを用いた視覚センサモジュールを構成し、複数形態に変化可能な形態可変ヒューマノイドや、水中でも活動可能な水陸両用ヒューマノイドに搭載して、複数の知覚を活用した動作実験で評価した。 (B)について、冗長なセンサで計測した形態可変ヒューマノイドの身体変形が多点接触を伴う形態可変動作に及ぼす影響の評価や、水中環境での遊泳・歩行といった移動動作や物体の運搬動作や拭き掃除動作といった全身マニピュレーション動作を検証した。 本成果で構成された水陸両用ヒューマノイドは、環境から受ける力として摩擦力より粘性が優位なことを利用した水面環境での遊泳と、水中環境での全身マニピュレーション動作が可能なことを実験的に示しており、同種のモジュールを利用した多種類形状のロボットで同様に多環境適応を行えることが期待される成果となっている。 (C)について、実環境作業が可能なスケールの関節アクチュエータモジュールを構成し、冗長なセンサを利用した動作実現法や、受動的に開放可能なウォームギア減速機構のセルフロック性を活用した省エネルギー関節モジュールの構成法と制御法の検証を進めている。本モジュールはセルフロック性を備えエネルギーを用いずに負荷を受ける骨格にも変化できるものであり、冗長なセンサを活用した逆駆動性とセルフロック性を両立することで、省エネルギーで定常的に負荷を受けつつ外力に倣うことも可能な関節を持つロボットへの利用を想定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は駆動機構とセンサ要素の開発(A,C)だけではなく、複数形態への形態可変や複合環境に適応可能なヒューマノイドの動作実現に活用し(B)、評価実験の基盤を構築することができた。 (A)多環境適応型センサモジュールの開発と応用:陸上での利用を想定して開発した分散型複合センサモジュールにアクチュエータと同様の防水処理を行うことで水中環境への適応が可能となった。防水センサを備えたヒューマノイドは陸上と水中の複合的な環境での動作学習に用いることのできるプラットフォームとしての応用が期待される。 (B)実環境スケールアクチュエータモジュールの設計開発:実環境作業が可能なスケールで構成を進めている関節アクチュエータモジュールは、ウォームギアのセルフロック性を用いてエネルギーを用いずに負荷を受ける骨格にも変化できるものであり、形態可変ロボットの適応範囲を広げるものとなっている。 全体を通して基盤ハードウェアシステムの構築と単純な実験による評価を先行して進めており、今後は脱着機構の開発や、ハードウェア要素の抽象化と形態遷移や動作実現への活用へと発展させていく。
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Strategy for Future Research Activity |
(A)多環境・複合スケールに適応可能な駆動・センサシステムを活用した脱着機構 多環境適応型アクチュエータ・センサシステムを用い、脱着が容易で強度に優れる形状の脱着機構の構造を試作検証する。機構には触力覚や駆動自由度を実装し、実機のリンクに発生する内力や各モジュールの姿勢などの情報を構造遷移動作に利用する他、環境やロボット身体に設けた機構や既知の形状に着接することで作業中の身体固定や構造・作業能力改変を目指す。構築を進めてきたアクチュエータ・センサ・脱着機構モジュールを組み合わせた多環境多形態適応ロボットシステムの評価を目的として、ダムの清掃と配管の点検・異物の回収などといった、複合環境にまたがる一連作業を模して実験を行う。多環境適応多形態ロボットの追加例として、卓上で利用可能な実環境作業が可能なサイズのデスクトップアームも検討しており、脱着機構を活用した自律的な設置箇所やエンドエフェクタの可変や、小型スケールロボットの構造改変・修理への展開も検討している。 (B)多環境・多用途を達成可能な身体構造の生成と遷移 多様な構造のハードウェアにおける実機での検証コストを下げるため、多種類のモジュールを多様な形態・形状で組み合わせて共通的に扱える幾何モデリングソフトウェア基盤を利用して多種類のロボットモデルを生成して動作計画に活用していく。多環境下での動作検証を目的として、陸上と水中などの複合環境を備えるシミュレーション環境を構築し、環境の幾何形状に加えて、重力・浮力や粘性抵抗など環境から受ける力が多様に変化する条件下での動作制御研究の基盤の構築を目指す。目標とする環境とタスクの制約条件を満たすように、身体要素の情報を含むノードと、脱着機構の情報を含むエッジを組み合わせて身体構造グラフを生成する記法を作り、複合環境における複数形態を活用した動作実現における形態遷移計画に活用していく。
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[Presentation] Development for Humanoid-Vehicle Transformer Platform with Plastic Resin Structure and Distributed Redundant Sensors2022
Author(s)
Tasuku Makabe, Naoki Hiraoka, Shintaro Noda, Tomoki Anzai, Kohei Kimura, Mirai Hattori, Hiroya Sato, Fumihito Sugai, Yohei Kakiuchi, Kei Okada, Masayuki Inaba
Organizer
2022 IEEE International Conference on Robotics and Automation
Int'l Joint Research
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