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2021 Fiscal Year Annual Research Report

2電子原子のリドベルグ状態による量子計算の実現

Research Project

Project/Area Number 21J11878
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

奥野 大地  京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2021-04-28 – 2023-03-31
Keywords原子分子 / 量子エレクトロニクス / 冷却原子 / リドベルグ状態 / 光ピンセットアレイ
Outline of Annual Research Achievements

光ピンセットアレイ中の単一中性原子を用いた量子計算プラットフォームの構築を行った。特に2電子原子を用いることで、従来使われてきた1電子原子の持つ問題点を克服する系を開発した。
開口数0.6の対物レンズと音響光学偏向器を用いて、半径900-nmまでフォーカスした光ピンセットアレイを生成し、ボソン同位体である174Yb単一原子のトラップと、1S0-3P1(波長 556-nm)遷移の発光による高感度イメージングに成功した。また、発光量の解析を行い、原子の有無の誤判定確率が0.3%と非常に低い水準にあることを確認した。さらに、我々は光誘起二体衝突過程によっておよそ40%の割合で欠損を含む状態の1次元25サイト及び2次元3×8サイトの原子配列に対し、光トラップの高速フィードバック処理を行い、無欠損な原子配列を生成することに成功した。音響光学偏向器のみを用いた2次元原子配列の無欠損配列の生成は我々の知る限り初の成果である。
次に我々はボソン同位体174Ybの1S0-3P2(mJ=0)遷移 (mJは磁気副順位)に対して、3P2-3S1遷移を用いた基底状態へのリポンピングを用いることで、バックグラウンドノイズフリーな超狭線幅分光に成功した。特に、トラップ中の原子の重心運動状態によるサイドバンド分裂の観測に成功した。この成果は、原子の重心運動基底状態への冷却に加え、光学遷移による量子ビット実現のための重要なステップである。
また、単一原子を用いた3P2状態から1光子リドベルグ励起を観測することに成功した。さらに蒸発冷却によって5μKまで冷却された原子集団を用いて体系的な分光を行い、新たにYb原子の3D3状態の観測に成功した。これは量子計算への応用のみならず原子分光の観点からも意義のある結果である。
本研究の成果を学会において発表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

計画していた単一イッテルビウム原子のトラップ及びイメージングの実現に成功した他、単一原子の超狭線幅励起およびリドベルグ状態への1光子励起と分光によって、振動基底状態への原子の冷却の前段階までが完了したほか、イッテルビウム原子のD系列リドベルグ状態に関する新たな知見を得ることができた。これらは計画における光学遷移量子ビットの単一量子ビット操作及びリドベルグ原子間相互作用による2量子ビットゲート操作を実現したものではないが、そのための根幹部分はすでに達成され、あと少しの実験パラメータの調整・改善を残すだけの段階まで到達したといえる成果である。特に今回我々が新たに発見したYb原子の3D3状態を含むエネルギー構造からは、共鳴的にリドベルグ状態間相互作用が強くなる現象が期待され、計画外の進展を得ることもできた。
計画していたフェルミ同位体の核スピンに対するホロノミック量子ゲート操作及び光学遷移量子ビットへのマッピングは実現できなかったが、これまでに本研究で得られた成果をベースとして、速やかに達成することが可能であると考えている。

Strategy for Future Research Activity

すでに達成された174Yb原子の1S0-3P2遷移の超狭線幅励起と準安定励起状態のリポンプを用いて、トラップ原子の振動基底状態への冷却を行う。
また、それにより1S0-3P2状態間のコヒーレント遷移が可能になると期待される。特にこれを用いた単一量子ゲート操作のデモンストレーションを試みる。
また、我々が新たに観測した(6s)(72d)3D3リドベルグ状態を用いることによって期待される原子間の強い双極子-双極子相互作用の観測とそれを用いたエンタングル生成に着手する。
また、フェルミ同位体のトラップ・イメージングを試みる。我々がこれまでに用いてきた1S0-3P1遷移ではなく、1S0-1P1遷移を用いたイメージングを行うことで、トラップ光とイメージング光のより低損失な分離を行い、またフェルミ同位体の高効率な検出を行う。
さらに、フェルミ同位体である171Ybの核スピン状態を量子ビットとして、1S0-3P1遷移によるホロノミックゲート操作の実現を試みる。
また、適切な磁場勾配を印加し、原子位置と超狭線幅1S0-3P2遷移の共鳴周波数を1対1対応させることによって、選択的な原子の量子操作の実現を行う。

  • Research Products

    (1 results)

All 2021

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] イッテルビウム原子の準安定状態からのリドベルグ共鳴スペクトルの観測2021

    • Author(s)
      奥野大地
    • Organizer
      日本物理学会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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