2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21J11879
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 陵嗣 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 遠アーベル幾何学 / 整数論 / ガロア群 |
Outline of Annual Research Achievements |
交付申請書の「研究の目的」に記載した通り、制限分岐版ノイキルヒ・内田の定理の研究を行った。ガロアコホモロジーを用いた手法により、有理数体上のガロア性に関する仮定と虚素点に関する仮定を外す等の進展が得られた。この結果をまとめた論文は、Journal fur die reine und angewandte Mathematikに掲載された。また、「Isom版」に関する研究も行った。研究開始時に期待していた結果だけでなく、分解群の共通部分の自明性に関する結果も得られた。これらをまとめた論文のプレプリントは公開済み(arXiv:2107.04280)で、現在学術誌へ投稿中である。 ノイキルヒ・内田の定理の別の一般化である「最大副Sigma商版」に関する研究を行った。途中でより一般の「最大副C商版」の研究に形を変えた。先行研究がほとんど存在しない状況だったが順調に研究が進み、Cに関する素数の集合のディリクレ密度に関する仮定の下で証明することが出来た。現在論文投稿の準備中である。「最大副p商版」へのアプローチを含む、さらなる発展を見込んでいる。 これまでの研究で得た知見を活かして、ノイキルヒ・内田の定理の一般化に関するサーベイ論文を制作し、現在学術誌に投稿中である。 交付申請書の「研究実施計画」に記載した通り、タブレット端末とノートパソコンを購入し、デジタルノートを用いた研究や論文の作成に使用した。整数論に関する書籍を購入し、研究に活用した。また、オンラインが中心であったが多くの研究集会に参加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の「研究実施計画」に記載した制限分岐版と最大副C商版のノイキルヒ・内田の定理について、計画通りに研究が進んだから。特に最大副C商版については、計画時に予想していた以上に強い主張が証明できた。
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Strategy for Future Research Activity |
ノイキルヒ・内田の定理の様々な一般化を証明する事が最終的な目標である。具体的には、昨年度に行った制限分岐版と最大副C商版のノイキルヒ・内田の定理の研究を進める。特に、最大副C商版の研究を通して最大副p商版へのアプローチを目指す。また、レオポルト予想などの他の問題との関係を明らかにすることを目指す。 加えて、制限分岐版ノイキルヒ・内田の定理の高次元化にあたる、「算術曲面の数論的基本群に関する遠アーベル幾何」の研究を進め、セクション予想やジーゲルの定理などの数論幾何的な問題との関係を調べる。この研究では制限分岐版と最大副C商版の研究手法や結果自体を応用できる可能性があるので、それについて調べる。
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