2021 Fiscal Year Annual Research Report
新世代気象衛星を用いた台風内部コア領域の風速推定手法開発と台風の変動過程の解明
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21J12026
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
塚田 大河 北海道大学, 環境科学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 台風 / 気象衛星 |
Outline of Annual Research Achievements |
新世代静止気象衛星を用いた物理的な視点に基づく台風強度推定に向けて、(1) 台風内部コア領域の風速推定手法の改良と、(2) 台風の最大風速半径の推定手法の改良を行った。
(1) これまで開発した、時空間スペクトルによる台風内部コア領域の風速推定手法を赤外画像に適用するにあたり、いくつかの困難が生じた。それらを解決すべく、新たに方位角-時間断面図上での線分検出による風速推定手法を開発した。この推定手法はまだ改善の余地があるが、空間解像度の粗い赤外画像でも、工夫次第で風速推定が可能であることを示した。特に、第一推定風速に基づく動画の逆回転処理は有効であり、今後の手法開発においてもその知見が大いに活かされることが期待される。
(2) 先行研究において提案されていた、台風の眼の半径からの回帰により最大風速半径を推定する手法をを改良した。先行研究では主に航空機観測で測定された最大風速半径への回帰が行われていたが、本研究では、合成開口レーダー観測を用いてリトリーブされた、台風のような極端現象下でも信頼できる海上風推定値による最大風速半径の測定に置き換えて再調査を行った。その結果、従来の最大風速半径の推定は、考えられていたよりも高精度であることを示した。さらに、台風の眼の半径の測定手法を改良したところ、それを用いた最大風速半径推定誤差は、従来の半分程度まで小さくなることを示した。本研究についてまとめた論文を現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
空間解像度の粗い赤外画像での風速推定に着手し、その実現可能性の高さを見出した。台風強度の推定において重要となる最大風速半径を高精度に推定する手法の開発に成功し、論文投稿も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
台風内部コア領域のより詳細な風速推定手法を開発・適用し、その特徴を明らかにする。さらに、最大風速半径の推定結果と組み合わせることで、台風強度の指標となる最大風速を物理的視点から推定する手法開発につなげるため、研究を進める。
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