2022 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー冷却重元素を用いた電子の電気双極子能率探索
Project/Area Number |
21J12044
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小澤 直也 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 反物質消失機構 / CP対称性の破れ / 永久電気双極子能率 / フランシウム / 表面中性化 / レーザー冷却 / 光格子 / ファイバー増幅器 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙の誕生以降、粒子と反粒子が対をなして生成することで、今日存在する物質が形成されてきたと考えられている。一方、もしも粒子と反粒子が同じ量だけ作られてきたとすると、全て対消滅により失われてしまい物質が形成されなかったはずである。したがって、宇宙の進化の過程において粒子が反粒子よりも多く残るような非対称な過程が存在したことが期待される。本研究では、このような物質・反物質対称性の破れの起源の一つとなり得る時間反転対称性の破れを示す効果である、電子の永久電気双極子能率 (EDM) を高精度で測定することを目指す。 原子番号の大きいアルカリ原子では電子の相対論的運動により電子EDMが大きく増幅され、最も重いアルカリ元素であるフランシウム (Fr) 原子の場合、その増幅度は800倍程度にのぼることが理論計算により示唆されている。本研究では、理化学研究所AVFサイクロトロンを用いたFr原子大強度生成およびレーザー冷却の技術を駆使し、Fr原子のEDMを高精度で測定するための装置開発および実験を推進している。 本年度は、光格子用大強度レーザー光を生成するためのYb添加ファイバー増幅器 (YDFA) の製作を実施した。十分なパワーを利用するためには、YDFAを高放射線環境下である加速器ビームライン付近に設置することが必要となる。したがって、放射線シールドの装備や、破損部品の交換が容易になるように、YDFAをファイバー融着技術によって自作した。数値計算による性能予測と併せて開発を進めた結果、10 W 以上のパワーを供給することに成功した。また、Frを用いた中性化・磁気光学トラップの実験も実施し、特に中性化標的の表面状態が原子生成効率を大きく左右することを確認した。これらの研究により、冷却Fr原子を用いた電子EDM測定に向けた基幹装置開発を完遂し、また最適化に向けた課題を明確化した。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)