2021 Fiscal Year Annual Research Report
太陽電池用ダウンシフト蛍光体の創製および発光メカニズムの解明
Project/Area Number |
21J12142
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
岩城 将人 新潟大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 蛍光体 / 希土類 / Eu2+ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、結晶性シリコン性太陽電池の変換効率を向上可能なEu2+またはCe3+賦活新規無機蛍光体材料の開発を目的として研究を進めている。当該年度では、Eu2+賦活量により黄緑色から橙色へと発光色が変化するCa6BaP4O17:Eu2+の合成に初めて成功し、その詳細な発光メカニズムについて調査を進めた。Rietveld解析の結果から、目的物であるCa6BaP4O17:Eu2+の主相合成およびEu2+量に伴う格子体積の単調増加が観測された。蛍光励起スペクトル測定を行ったところ、Eu2+賦活量が1 mol%のときの発光色は黄緑色である一方で、賦活量が増えていくと蛍光波長がレッドシフトし、20 mol%のときに発光色は橙色を示した。また、ガウスフィッティングによる発光エネルギーのデコンボリューションから、二成分への分離に成功し、Rietveld解析の結果も考慮すると、賦活剤であるEu2+はCa6BaP4O17結晶中の異なる配位環境がそれぞれ異なる二つのCaサイトに優先的に固溶していることが明らかになった。今回得られた成果はJournal of Luminescenceに論文受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、Eu2+賦活Ca6BaP4O17の蛍光特性評価を行った。Eu2+濃度賦活量により、発光波長が黄緑色から赤橙色の発光のレッドシフトが観測された。今後の材料設計において新たな知見が得られたため、研究は順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き溶融急冷法によるEu2+およびCe3+賦活ダウンシフト蛍光体の探索を進める。Ca6BaP4O17:Eu2+から得られた知見から、リン酸塩蛍光体を中心に新規材料探索を行う。
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