2021 Fiscal Year Annual Research Report
IIn型超新星に付随するトーラス状の星周物質の起源と観測的診断法の確立
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21J12145
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 知紀 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 超新星 / 超新星残骸 / 電波天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
重力崩壊型超新星爆発を起こす大質量星の中には、爆発の直前に自身の恒星質量に匹敵する量のガスを放出するものがあると考えられている。この大規模な質量放出現象は既存の恒星進化理論では説明ができない振る舞いとして注目を集めている。本研究では質量放出機構としての連星相互作用に着目し、その力学進化と期待される電波放射を数値的に調べ、星周物質の多次元構造や観測的診断法について示唆を与える。 連星相互作用に伴う激しい質量輸送を経験する系として、連星中性子星の形成に至る超新星がある。この種族の超新星親星の進化が先行研究で詳細に調べられていたことに着目し、質量輸送率の時間進化のデータを使って星周物質の構造、およびその後の超新星・超新星残骸としての進化を数値的に調べた。その結果、星周物質は数パーセクに渡り非一様な星周物質の構造と、高温なプラズマで特徴付けられることを明らかにした。さらにその後の超新星残骸の進化過程において、衝撃波が高温プラズマ中で消滅することを数値的に明らかにした。この結果は本研究が初めて提示した現象であり、今後の超新星・超新星残骸の研究への応用が期待される。また観測的兆候として、銀河系内の超新星残骸より暗い電波強度、同程度の直径を持つことを示した。さらに星周物質の非対称性について、共通外層過程における質量放出よりも爆発直前のロッシュローブオーバーフローが重要である可能性を示唆した。 本研究の内容についてまとめた論文を執筆し、国際査読誌に投稿した。また超新星の電波放射の観測研究の完成にも貢献した(Maeda et al. 2021)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
星周物質の形成から超新星・超新星残骸に至るまでの数値計算を実行し、そのパラメータ依存性も調査できた。また本年度の研究内容についてまとめた論文の執筆も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は二つの観点から研究を推進する。(1)星周物質の多次元構造が超新星・超新星残骸の進化に与える影響に関する直接的な検証。(2)多次元構造を診断するための前提として、超新星の電波放射における入力パラメータの縮退関係の理解。
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[Journal Article] The Final Months of Massive Star Evolution from the Circumstellar Environment around SN Ic 2020oi2021
Author(s)
Keiichi Maeda, Poonam Chandra, Tomoki Matsuoka, Stuart Ryder, Takashi J. Moriya, Hanindyo Kuncarayakti, Shiu-Hang Lee, Esha Kundu, Daniel Patnaude, Tomoki Saito, and Gaston Folatelli
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 918
Pages: 34, 44
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research