2021 Fiscal Year Annual Research Report
クライオ電子顕微鏡によるエボラウイルスヌクレオカプシドの構造解析
Project/Area Number |
21J12207
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 陽子 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | エボラウイルス / 微細構造 / 電子顕微鏡 / クライオ電子顕微鏡法 / クライオ電子顕微鏡 / フィロウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
ウイルス性出血熱を引き起こすエボラウイルスは、ヒトを含む霊長類に重篤な出血熱を引き起こす。アフリカで散発的な流行が繰り返されているほか、欧米への感染輸入例が報告されていることから本邦でも輸入感染症として懸念されており、より効果的な予防薬・治療薬が求められている。しかし、感染性エボラウイルスの使用はBSL-4施設に限られることもあり、ウイルス増殖の分子機構の詳細は未解明である。本研究では、クライオ電子顕微鏡法によりウイルスの増殖に必須のタンパク質複合体であるヌクレオカプシドの高分解能構造を決定し、ウイルスゲノムの転写・複製機構や粒子形成機構を明らかにすることを目的とした。 一年目は、エボラウイルスのウイルス様粒子(VLP)を作製し、VLPからエンベロープを除去しヌクレオカプシドを精製する方法について検討を重ねた。本研究の課題は、ヌクレオカプシドの構造を崩さずに、ウイルス粒子中の構造を反映した状態を保って精製することにある。現在、精製時のBuffer組成の検討や、発現系のコンストラクトの検討などを進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時の計画では、2021年度にサンプル精製条件の検討を行い、クライオ電子顕微鏡で画像データを取得する予定であったが、精製条件の検討が難航している。ウイルス様粒子を界面活性剤で処理することで、エンベロープのみを除去し、内部のヌクレオカプシドを精製するというアプローチにより精製条件の検討を進めている。しかしながら、界面活性剤の添加によりヌクレオカプシド上のウイルスタンパク質が解離してしまうことが判明し、最適な精製条件を決められていない。 したがって、当初の計画より研究の進行がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず精製条件の最適化のため、Buffer組成や発現コンストラクトの検討を進める。これと併せて、ウイルス様粒子の解析も行う。ウイルス様粒子そのものをクライオ電子顕微鏡法により観察・解析することで内部のヌクレオカプシドを精製することなく構造解析できることが期待される。ヌクレオカプシドの構造が決定されたのち、レポーターアッセイなどによりウイルス増殖に必須のタンパク質間相互作用を同定する。
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Research Products
(7 results)