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2021 Fiscal Year Annual Research Report

次世代型治療法開発の分子基盤となる肺炎球菌による宿主オートファジー回避機構の解析

Research Project

Project/Area Number 21J12222
Research InstitutionYokohama City University

Principal Investigator

雫石 早矢佳  横浜市立大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2021-04-28 – 2023-03-31
Keywords肺炎球菌 / NanoLuc / NanoBiT
Outline of Annual Research Achievements

肺炎球菌は主にヒトの鼻咽頭に常在し通常は無症候性であるが、小児や免疫力が低下した高齢者では敗血症や髄膜炎といった侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)を引き起こす。IPDの発症には肺炎球菌が鼻咽頭上皮細胞など宿主細胞侵入後に、エンドソーム膜を損傷することでエンドソーム内の酸性化を抑制し細胞内殺菌を回避することが必要である。従来、細胞内付着および侵入菌数の定量化には寒天平板菌数算定法が用いられてきたが、本研究では我々はバイオルミノアッセイ系を導入し、培養細胞への肺炎球菌の付着菌数、エンドサイトーシス経路による細胞侵入を簡便かつ客観的に定量化するアッセイ系の構築を行った。その結果、付着菌数の定量化には深海エビ由来のナノルシフェラーゼであるNanoLucを用い、細胞侵入性とエンドソーム損傷度合いの定量化にはHiBiTとLgBiTからなるスプリット型NanoLucであるNanoBiTを用いることで、肺炎球菌の付着から侵入までを客観的かつ簡便に定量化するアッセイ系を確立することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

細胞に付着した菌数をバイオルミノアッセイ系を用いて定量化するため、NanoLucを発現する肺炎球菌を作製し、まずその菌だけが特異的に発光活性を示すことを確認した。次に、cfuと発光活性の比較を行い、実菌数がNanoLucによる発光活性に反映されていることを確認した。続いて、作製したNanoLucを発現する肺炎球菌を用いて細胞に付着した菌数の定量化を行った結果、菌側の付着因子CbpAと宿主受容体pIgR依存的に発光強度が上がることを見出した。すなわち、NanoLucを発現する肺炎球菌野生株とCbpA欠失変異株を、pIgRを発現している細胞、していない細胞に感染させた結果、pIgRを発現している細胞に野生株を感染させたときのみ、NanoLucによる発光活性の大幅な上昇が認められた。この結果、バイオルミノアッセイ系を用いた肺炎球菌付着評価系を構築することに成功した。
次に、細胞への侵入性を定量化するため、HiBiTとLgBiTの相互作用により発光活性を有するスプリット型NanoLucの系であるNanoBiTを用いた。HiBiTを発現する肺炎球菌をLgBiTを発現する細胞に感染させた結果、CbpA-pIgR依存的発光強度が上昇することが明らかになった。すなわち、HiBiTを発現する肺炎球菌野生株とCbpA欠失変異株を、LgBiTを発現し、pIgRを発現している細胞、していない細胞に感染させた結果、pIgRを発現している細胞に野生株を感染させたときのみ、NanoBiTによる発光強度の大幅な上昇が認められた。この結果、バイオルミノアッセイ系を用いた肺炎球菌侵入評価系を構築することに成功した。
以上の結果より、肺炎球菌の付着から侵入までを客観的かつ簡便に定量化するアッセイ系を確立できたことから、おおむね順調に進展していると考える。

Strategy for Future Research Activity

今後は、確立したバイオルミノアッセイ系を用いて、細胞付着と侵入に関与する肺炎球菌病原因子のスクリーニングを行う。肺炎球菌の付着から細胞侵入までに関与する病原因子の同定のため、NanoLucを発現する肺炎球菌およびHiBiTを発現する肺炎球菌を元に、各病原因子欠失変異株を作製する。作製した各病原因子欠失変異株を用いてバイオルミノアッセイを行い、細胞付着・侵入に関与する病原因子に関与する病原因子を見出す。その後、該当する病原因子の全長相補株および部分欠失体相補株を作製し、責任ドメインを同定する。さらに、肺炎球菌の付着からエンドソーム膜損傷までに関与する宿主因子の同定のため、まずは各阻害剤を用いてアッセイを行い、ターゲットとなる宿主因子を絞る。その後、各因子をノックダウンした細胞を用いてアッセイを行い、細胞付着に関与する宿主因子や、エンドソーム膜損傷に関与する宿主因子を見出す。また、本アッセイ系は肺炎球菌感染によって惹起されるエンドソーム膜損傷も同時にアッセイできることから、エンドソーム膜損傷に関与する肺炎球菌病原因子のスクリーニングも行っていく予定である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2022 2021

All Presentation (6 results)

  • [Presentation] ルシフェラーゼ二分子技術を応用して肺炎球菌の細胞付着・侵入菌数を定量化する方法の開発2022

    • Author(s)
      雫石早矢佳、小川道永、明田幸宏、梁明秀、大西真
    • Organizer
      第95回日本細菌学会総会
  • [Presentation] NanoBiTシステムを応用した肺炎球菌の細胞付着からエンドソーム膜損傷までに関与する病原因子の探索2022

    • Author(s)
      雫石早矢佳、小川道永、明田幸宏、梁明秀、大西真
    • Organizer
      第95回日本細菌学会総会
  • [Presentation] 宿主細胞への細菌の付着・侵入効率を化学発光で定量的に評価する方法の開発2021

    • Author(s)
      雫石早矢佳、小川道永、明田幸宏、梁明秀、大西真
    • Organizer
      第94回日本生化学会大会
  • [Presentation] ルシフェラーゼ二分子技術を応用した肺炎球菌の細胞付着・侵入菌数モニタリングアッセイの構築2021

    • Author(s)
      雫石早矢佳、小川道永、明田幸宏、梁明秀、大西真
    • Organizer
      第104回日本細菌学会関東支部総会
  • [Presentation] 肺炎球菌の細胞付着・侵入菌数を簡便に測定する方法の開発2021

    • Author(s)
      雫石早矢佳、小川道永、明田幸宏、梁明秀、大西真
    • Organizer
      第15回細菌学若手コロッセウム
  • [Presentation] 肺炎球菌感染時にp62-CbpC-Atg14が誘導する選択的オートファジーの分子メカニズム解析2021

    • Author(s)
      雫石早矢佳、小川道永、明田幸宏、梁明秀、大西真
    • Organizer
      第73回日本細胞生物学会大会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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