2021 Fiscal Year Annual Research Report
精神的不調を抱える思春期・青年期のリカバリー促進に注目した早期支援法の開発
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21J12237
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
臼井 香 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | AYA世代 / 早期支援 / 簡易性 / 実装性 |
Outline of Annual Research Achievements |
思春期・若年成人はAdolescent and Young Adult(AYA)世代と呼ばれ、様々な精神的不調を体験する時期である。早期支援の重要性が議論される一方、AYA世代での精神的不調からリカバリーにつながる要因や効果的な早期支援はまだ明らかにされていない。本研究は、リカバリーにつながる要因を調査し、効率性・簡易性を備えたリカバリー志向型の早期支援プログラムの開発および効果検証することを目的とする。今年度は、リカバリーにつながる要因の文献調査、早期支援プログラムの開発及び対象者5名へのプログラムの予備実施を行った。 AYA世代の精神的不調早期のリカバリーの促進・阻害要因を明らかにするため、リカバリー経験について質的研究を行った先行文献を対象として文献調査を行った。文献検索で抽出された173本の論文から本研究の目的に即した21件の論文を対象とした。分析の結果、「エンゲージメント」「アイデンティティ形成」「主体性や自律性」等が先行文献間で共通性の高いテーマとして生成され、リカバリーにつながる重要な要因であると考えられた。 プログラムの開発は、①研究チームの合議によるプログラム作成、②早期支援経験者の効果的な関わりを取り入れた改訂版プログラムの作成の手続きを経て、実施した。①では、研究チームの合議により、文献調査の知見をもとにプログラムの構成要素と枠組みを策定した。②では、支援経験者21名への本プログラムに関するインタビュー調査を行い、得られた意見をプログラムに反映する作業を行った。①、②の結果、安心感の醸成と主体性の促進を構成要素とし、1回30分、最大5回の個別セッションを基本としたプログラムを開発した。さらに、インタビュー調査の結果で得られた安心や主体性の促進につながる支援実施者の具体的態度や声掛けを取り入れた内容とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、支援ニーズやリカバリー促進要因を明らかにするため当事者へのインタビュー調査を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で実施できなかった。しかし、先行研究の文献レビューや支援経験者へのインタビュー調査を行うことに切り替え、当初予定していた早期支援法の開発を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、プログラムの予備的な効果検証の結果をもとに、本プログラムの改訂や効果検証を進める予定である。また、本プログラムは臨床現場で実装・普及されやすい内容となるよう、効率性・簡易性を重視しているが、客観的に検証する必要がある。そのため、海外で開発された精神保健分野における介入の実装性の評価が可能な尺度の日本語版の作成を行い、効率性・簡易性の客観的評価に役立てる予定である。
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[Journal Article] The association between clinical symptoms and later subjective quality of life in individuals with ultra-high risk for psychosis and recent-onset psychotic disorder: A longitudinal investigation.2022
Author(s)
Kaori Usui, Kenji Kirihara, Mariko Tada, Mao Fujioka, Daisuke Koshiyama, Motoko Tani, Maiko Tsuchiya, Susumu Morita, Shintaro Kawakami, Akiko Kanehara, Kentaro Morita, Yoshihiro Satomura, Shinsuke Koike, Motomu Suga, Tsuyoshi Araki, Kiyoto Kasai
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Journal Title
Psychiatry and Clinical Neurosciences
Volume: Epub ahead of print
Pages: 1-8
DOI
Peer Reviewed
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