2021 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding a shape perception of grasping object based on its dynamics
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21J12372
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 健 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | VR / ハプティクス / 力提示装置 / インピーダンス制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はトルク出力装置の改良を行った.研究実施計画時点では,具体的な改良点として(a)トルクの継続的な出力(b)装置の任意の動きへの対応(c)出力するトルクの大きさの見積もり,を挙げた.これらの点を踏まえてトルク出力装置を改良し,ヒトの動きに合わせてトルクを出力できるようになった.さらに,トルクセンサと慣性センサを用いた実験により,ヒトの運動の角加速度や角速度に合わせて正確かつ継続的にモーメントのフィードバックができていることを実証した.また,当初は物体の慣性モーメントにのみ注目して実証を行っていたが,物体に生じる粘性抵抗も同じ手法で表現可能であることに気づき,そちらの実証も行った.VRアプリケーションと本研究で提案する力提示装置を合わせて用いることで,物体の様々な慣性や粘性が表現できることが分かった. このように,運動における要素である慣性モーメントや粘性の抵抗を変化させることで,ヒトが把持している物体の形状知覚が変化するということが分かりつつある. 力をヒトの運動に連動させて提示する手法自体は一般性の高いものであるため,本研究で明らかになった「運動に介入することで運動の静的な特性を変える」ことは他の触覚・力覚提示装置にも応用可能であり,分野に与えるインパクトは大きいと考える. 一方で,ユーザの体験時のフィードバックにおいて「装置が重くて出力されるトルクがわかりづらくなっている」という指摘がいくつか見られたため,装置の軽量化を並行して行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は計画時に掲げた目標をすべて達成し,追加でVRアプリケーションと合わせた検証も行えた.しかしながら,作製した装置の重量が大きいため,ユーザからは「力は感じるが,装置の重さが重くて霞んでしまう」と言ったようなフィードバックも得られている.今後は当初の目的である運動への作用による形状知覚のメカニズム解明を,慣性と粘性といったパラメタを独立に変化させることで検証しつつ,効率的にヒトにトルクを伝達するために装置の軽量化を行っていきたい.
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトの把持する物体に関しては,トルクのフィードバックによって慣性や粘性が変わることが示唆された.厳密な心理物理学実験をおこなることでこの主張を裏付けていく. また,把持する物体に限らずヒトの身体の運動に関する慣性や粘性と言ったパラメタが変更できるかどうかを検証していく. 身体運動に介入した際に,それが外力によって起こされたものと知覚されるのか,それとも身体自体が変化したと知覚されるのかを調査する.運動学的には道具の運動への力の介入と身体運動への力の介入は同一の式で記述できるが,道具と身体ではSence of Agencyの感じやすさに差があると予想される.身体にインピーダンス制御を適用した時のヒトの感じ方について調査していく.
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