2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21J12434
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 信 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | パワーモジュール / 絶縁劣化 / 電界計測 / 非線形光学 / 非侵襲計測 / 非接触計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
パワーモジュールに使用されるゲルや固体絶縁材料中の劣化現象の解明を目的として,本年度では,高温下における劣化現象の調査および電界測定機構の開発を行った。 シリコーンゲル中では固体絶縁材料と同様に高温ほど劣化しやすいものの,ある一定の温度を超えると劣化が飽和することが明らかとなった。シリコーンゲルでは,ある一定の温度を超えるとゲルの液体成分が増えて自復しやすくなり,劣化が飽和したと考えられる。実機に近い条件である高温ほど劣化しやすいため,実機の運用上劣化に注意が必要であることが明らかとなった。 また,ゲルや固体絶縁材料中で生じる放電の電界測定を行うため,E-FISHG法により電界を測定するシステムの開発を行った。これまで,E-FISHG法により気体放電プラズマ中の電界測定がなされてきたが,当研究グループによりSHGに対する電界強度の校正が不十分であったことが明らかとなってきた。そこで,本年度においては,ゲルや固体絶縁材料ではなく気体中の電界3次元ベクトル測定システムの開発を行った。 E-FISHG法を用いた電界測定では,SHG 信号強度に対する電界強度の校正が必要である。レーザ光路に沿って積分された信号がディテクタに得られる。そのため,測定時と校正時の電界分布の違いを考慮しなければ,得られた電界強度は間違った値になる。そこで,平行棒電極を用いた電界校正手法と,焦点位置を変えることで取得したSHG信号分布から電界分布を復元する手法を提案し,実証した。さらに,レーザの偏光方向にのみ感度があるように光学系を作製し,電界強度だけではなく,電界の向きも3次元分布で取得できるようにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
E-FISHG法を用いて,ゲルや固体絶縁材料の劣化の電界分布計測を行う予定であった。しかしながら,E-FISHG法によりこれまで行われてきた気体中電界計測において,校正が不十分であることがわれわれの研究グループにより明らかとなった。そこで,気体放電プラズマ中における電界測定手法の開発に重点をおいた。気体中における校正手法の提案および実証につながった。
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Strategy for Future Research Activity |
E-FISHG法における校正手法の提案し,静電界において,電界ベクトルの3次元測定ができた。今後は,誘電体バリア放電やストリーマ放電など放電プラズマ中の電界測定を行う。その後,固体絶縁材料中の劣化の電界測定を行う予定である。
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