2021 Fiscal Year Annual Research Report
質感形成における視覚・聴覚・触覚の多感覚統合処理の解明
Project/Area Number |
21J12549
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小野 未琴 九州大学, システム情報科学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | 質感 / 視覚 / 触覚 / 聴覚 / 多感覚統合 / 性質知覚 / 粗さ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,質感認知における視覚・聴覚・触覚の多感覚統合のメカニズムを明らかにするために人を対象とした実験を行う研究を2つ実施した.2つの研究共に質感の代表的な粗さを研究対象とし,先行研究で確認されている視覚情報や聴覚情報による触覚の粗さへの影響が何故生じているのかを,統制された刺激を使って明らかにすることを試みた.1つ目の研究では聴覚情報による粗さ知覚への影響を調べた.本年度では実験を2つ行った.1つの実験で20名ほどのデータを集めて,音の条件間で粗さの感じ方に違いがあるかを統計検定にて調べた.その結果,音の条件間で差が無いことが分かり,仮説とは異なる結果が得られた.結果の原因として,刺激の設定や実験環境の不備などが考えられる.例えば音に合わせて台を動かし,触覚刺激を参加者の左手人差し指に呈示していたが,触って音が生じている感覚がなかったり,参加者が能動的に手を動かしてなかったりして,不自然な環境で行っていたため仮説通りの結果が得られなかった可能性がある.そのため来年度では,主に刺激や実験環境を見直した状態で再度実験を行い,仮説通りの結果が得られれば学会等に成果を公表するように活動する予定である.2つの研究では,視覚情報による粗さ知覚への影響を調べた.本年度は,実験環境を整えて予備実験を行う予定であったが,思った以上に進み本実験を1つ行うことができた.20名分のデータを集めて,分析を行ったところ視覚刺激の条件間で粗さの違いは生じなかった.以降の実験では,実験の設定をかけて前実験とは異なる結果が得られるかを確かめ,仮説が正しいか調べていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1つ目の研究である聴覚情報による粗さ知覚への影響の研究が遅れている.理由は2回ほど実験を行ったがどちらも仮説を支持する結果ではなかったため,外部に公表するまでに至らないと判断したからである.仮説通りの結果が得られたなかった理由としては,刺激の設定や実験環境の不備があったと考えられる.原因を排除した上で,本年度行った実験の結果と比較していく必要があるため,本年度は学会等で発表しないことを決めた.2つ目の研究である視覚情報による粗さ知覚への影響の研究は当初より進んでいる.本年度では1つ目の研究と並行しながら,実験環境の設定を行い,予備実験を実施する予定であった.本年度の前半で,実験環境の構築及び予備実験の実施が完了し,後半で実験を行い20名ほどのデータが集めることが出来た.次年度以降に別の実験を行い,複数の実験の結果から仮説を支持するかを検討する段階まで来ており,今後もこのペースで進めていく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度では,引き続き2つの研究を並行して行っていく予定である.1つ目の聴覚情報による粗さ知覚の影響の研究では,年度の前半にて刺激設定や実験環境の改善を行った後,再度実験を2つ行う予定である.また並行して2つ目の資格情報による粗さ知覚の影響の研究に関する研究も行っていく予定である.データが集まり次第,分析を行い仮説通りであるか,仮説通りでなければ何故かと検討していく.本年度の後半では,それらの結果を使って可能であれば国内・国際学会で発表したり,国内論文を投稿したりすることで外部に結果を公表する予定である. また現在3本の論文を投稿しており,それらを本年度中にin press状態までに進めていく予定である.本年度中の後半では博士論文の作成に取り掛かり,修了を目指しながら本申請書の研究も進めていくつもりである
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