2021 Fiscal Year Annual Research Report
Igスーパーファミリータンパク質による神経間接続特異性を規定する分子基盤の解明
Project/Area Number |
21J12660
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Research Fellow |
小坂 二郎 東京工業大学, 生命理工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Keywords | ショウジョウバエ / シナプス特異性 / 免疫グロブリンスーパーファミリー |
Outline of Annual Research Achievements |
神経細胞は適切な相手とシナプス形成を行う性質(シナプス特異性)を持ち、これによって適切な神経回路が形成される。我々は、ショウジョウバエの視覚系を用いた解析によって、免疫グロブリンスーパーファミリーである、Beat/Sideタンパク質がシナプス特異性に働くことを見出した。その中でも、sideは強いシナプス誘導能を持つことを発見していた。 本年度ではまず、sideによるシナプス誘導に必要なドメインの同定を行った。5つのside-IVのドメイン欠損過剰発現体を用いて、ショウジョウバエ視神経におけるシナプス誘導能を解析した。その結果、リガンドと結合するドメインが欠損するとシナプス誘導能が全くなくなり不可欠なドメインであることが分かった一方で、細胞外領域の一部と細胞内領域は部分的に関与していることが明らかになった。シグナル伝達を行う細胞内ドメインが無くとも、シナプス誘導ができたことから、sideは共受容体と協調して、シナプス誘導を行うことが示唆された。 次に、sideによるシナプス誘導に影響を与える分子のスクリーニングを行った。その結果、とある1つの膜タンパク質と1つの足場タンパク質の2つの分子が、sideによるシナプス誘導に関わることが明らかになった。ショウジョウバエS2培養細胞を使った実験により、sideはこれら2つの分子と直接的に結合をすることが示唆された。ショウジョウバエ視覚系における機能解析をさらに行い、side-IVはこれら2つの分子と類似した局在を示し、sideと協調して複合体を作ることで、シナプス形成を行うことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
side-IVのドメイン解析と、side-IVのシナプス誘導に関わる分子のスクリーニングによって、side-IVは様々なドメインを介して、複数分子と相互作用しながらでシナプス形成を行うという、新たな分子機構を発見することができた。現在は、その相互作用の生体内における検証を、ショウジョウバエの視覚系で行っている。シナプス形成に必要な最小単位を見出すという、我々の目標に向かっておおむね順調に向かっているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回発見したside-IVとの相互作用が、生体内で実際にシナプス形成に重要な役割をしているのかより詳細な解析を行う。また、免疫沈降法(CO-IP)を用いて、この相互作用が生化学的に検出できるかも検証する。
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